驚愕
朝食を終えたので自分の部屋に戻る。
そういえば一人称ってどうなるんだろう?
「私」? それとも「僕」? ......どっちでもいいけどこの体に適した一人称は「私」だし「私」で行こう。「私」のしゃべりかたにも慣れないと。
そんなことを考えながら部屋の隅に置いてあるデスクの上に設置された最新型のパソコンを起動。株やビットコインの売買を始めた。基本的には自作のプログラムで回しているけれど安全第一のやり方なので利益が少ないのだ。
記憶によるとこの少女は昔父親の晴明に小遣いの増やし方を聞いた。その答えは「増やせるように勉強しなさい。」であり、一つのパソコンと株の本、元手となる金を与えられたのだった。当時の恵理はその優秀な頭脳で本を読み基本的なやり方を理解、少しづつだが元手を増やし始めた。最初のころは失敗をしたりもしていたが、晴明のサポートの元成長を続け、今ではほとんど失敗をせずにマージンを取りながら増やせるようになった。
もちろんそのたたき上げの技術は体に残っており、今日もそつなく増えている金額はもうじき9桁に届きそうだ。
一区切りついたら売買プログラムをさらに利益が出るよう調整してからパソコンを閉じる。
その後はタブレット端末で本を読み、家庭教師に課された高校数学の問題集を解き、終わったらプログラムの勉強。どうやらこの少女は人工知能の分野に興味があるらしく、その手の本が多い。別に興味がないわけではないので読んでいると少女の優秀な知能と知識も相まって面白かったので数時間没頭する。
......そんな今まで考える事すら出来なかったような生活に感動して一刻一刻を噛み締めるように過ごしていたが、ふと壁のカレンダーに目をやって違和感を覚えた
(何だろう?)
そしてあることに気付き、思考が停止する。
「三年......前に、戻ってる?」