はい?
許婚が積極的すぎる。
蓮司はそんな羨ましい悩みを抱えていた。
今朝は恵理さんの胸の中で目覚めた。
パニック状態の僕に追い討ちをかけるように恵理さんがからかってくるんだ。
勘弁してほしいよ......
そうは思うけど、別に嫌な訳じゃないんだ。
恵理さんの相手をしていると、なんか、こう......楽しい。
心がどんどん明るくなってくる。
今まで暗かったせいか余計に差が分かる。
僕は今、人生を楽しんでいるんだって。
恵理さんは僕と打ち解けようと頑張ってくれているみたい。
だから僕も応えないといけない。
どん底から救ってくれた恵理さんに何でもいいから返さないといけない。
どうやら将来恵理さんと結婚することになるらしいし、返す機会は沢山あると思うけど。
僕は恵理さんに救われた。
与えられて、愛されている。
大事にされている。
そんな自分を自覚しているから尚更恵理さんに返したい。
そしてもっと愛されたい。
僕の前からいなくなってほしくない。
とうの前に気付いている。
自分は恵理さんが好きなんだって。
多分僕は何も変わっていない。
恵理さん無しでは一日たりとも笑えない。
それ程までに僕の心は依存している。
おまけに何一つ返せてない。
そんな弱い自分が情けないんだ。
だから、
変わりたい。
強くなりたい。
恵理さんを逆に支えられるぐらい。
だから僕は意気込んで頭を下げる。
「恵理? 格闘技をやり」
ドンッ
「っ!? 何かあったの! 怒らないから言ってみなさい!」
「はい?」
言いかけた瞬間に恵理さんがすごい形相で壁ドンしてきた。
意気込み?
キャラが崩壊した恵理さんに迫られて一瞬で消えたよ。
話の腰を折られていじけることすら許されないこの空気に、僕は曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。
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