いじめ
最悪だ......。
あれほどバレないように気を付けていたのに......
人間というのは恐ろしい生き物だ。
いつの間にかプライベートを
他人の弱みを拡散することを、あっさり行えてしまうのだから。
僕の家の事情は入学3ヶ月目にしてあっさりばれた。
空気になろうとしていた僕にとっては致命傷だ。
本当に泣けてくる。
今も静かに弁当を食べている僕を話題にしているグループがいる。
時々こっちを指してニヤニヤしながら嗤っている。
中学生になるといじめの性質は変わった。
小学生のバカ丸出しないじめとは違って堂々とはしてこない。
代わりに平常を装った陰湿な嫌がらせになった。
不思議なことにこのクラスの中心的存在でありここ一番の警戒対象である二条宮絵理は、僕のことをじっと見ているだけで特になにもしてこない。時々そのきれいな顔でどこか悲痛そうに微笑んでくるだけだ。
......ああ、また何か言いによく僕を嗤っているグループが来た。
さて、次はどうやり過ごそう。
しかしそこに入る横槍。
「遠藤蓮司君だっけ? 一緒に弁当を食べない?」
目の前にたつクラス一の美少女、二条宮恵理。
最悪の展開だ。
しかし断ることなど論外。余計ヘイトが集まってしまう。
「友達とは食べないの?」
断れるわけがない。しかし少し遠慮はしておく。
「何か問題、ある?」
大有りだ。しかし逆らったら死ぬ。
「ありません。」
すると二条宮 恵理は満面の笑みで判決を下した。
「じゃあ決まりね!」
神はいなかった。