四十二話 話
ロビーに着くと、白撫さんと相模川さんはトイレに行ってくると言って歩いて行った。2分ほどで帰ってくるとのこと。
その間––––二人が帰ってきてからもなんだけど––––ロビーのお土産コーナーで色々見てみることにした。
「おっ、みろよこれ」
そう言って翔太が手にしたのは、歯を押すと口が閉じるおもちゃ。普通はワニだけど、これはサメだ。
「いや絶対痛いと思うんだ」
「とりあえず一回やってみようぜ」
「いやだよ!?」
「文句言う子はお母さん嫌いですよ!」
「そもそも翔太の息子になったつもりはないよ!」
なんだかんだと言いつつ、やっぱり一回やってみることに。ちなみに、サンプルなので、勝手に使ってもいいようだ。
先攻は僕だ。
歯がサメ特有の逆三角形の鋭いものなので、絶対痛い。
だがしかぁし!
僕はこのゲーム、一手は確実に痛いのを逃れられる技術を持っている!
関節をおもちゃの顎側に向けて奥歯を押すことにより、噛まれても歯は手に触れないのだ!
「ほいっ」
普通にセーフだった。
「次俺ー。よっ」
セーフ。僕、セーフ。翔太、セーフ…………
えー、最後一個でございます。そして、僕の番でございます。ありがとうございません。
「ほれほれいけよー」
なんだこいつ、勝ちが決まった瞬間に余裕見せやがって……!
ええいままよ!
カチッ。ガチコン!
「いでえっ!」
はー、痛い……凶器だろ……製作者でてこい……
痛みが止んでからサメを片付けたところ、白撫さんと相模川さんがまだ帰ってきていないのに気づいた。
「ちょっとトイレ行ってくるね」
そう言い、僕はトイレへと向かった。
角を曲がると、二人がトイレの入り口前に立ちながら話しているのが見えた。
「ですから……」
「おーい……」
声をかけようとしたものの、その声を聞いて何故か体を隠してしまう。そして、僕は次の言葉を聞いて完全に動けなくなってしまった。
「このままでは、精神がもたないでしょう?ご主人に頼んで、どこか遠くに置いてもらいましょう、お嬢様」
そう、相模川さんの声が聞こえた––––
ど、どういうことだ?精神がもたない?お嬢様?ご主人?いやその前に、なんで相模川さんが白撫さんに対して敬語で?なにがどうなってるんだ……?
「あのクソババアの近くにいることはありませんよ。あぁ、二人のことが気がかりなのでしょうか。なら、これもご主人に頼めば一緒に連れて行ってもらえるのでは?とにかく、どこか遠くに引っ越しましょう」
「っ…………そうですね、考えてみます」
僕は絞り出すような白撫さんの声を最後に、ロビーへと戻った。その後の二人は、なんでもないように過ごしていたけど、僕はそのことがずっと頭を離れず、うまく楽しめず、勉強も捗らなかった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
やあみんな!今回は久しぶりの平日更新だよ!!珍しいね!
いやあ、いきなり暗い雰囲気ですね!想定通りだ!
でも、この問題の解決はまだ先になるんじゃないかなと思うんで、あんまり気にしなくてもいいかと僕が思ってます。僕が。
そして!なんと!ついに!
モチベ復活です。
明日残ってるかは知りませんけどね(´・∀・`)ヘッ
あい、もうすぐご飯なので今回はこの辺で!
次回もよろしくです!
ばいばいヾ(・ω・`)




