三十九話 観光③
「足湯水族館?」
名前からすると、道が足湯になってるのだろうか……それとも、足湯の中に魚があるのかな?それは怖いけど……あ、足湯が泳いでるのか?……いやまて何かおかしかったぞ今。
「……そうだ。まあ、名前の通り足湯に入りながら魚を見れる」
なるほど。僕が言ったもののわどっちなのかでだいぶ変わるけどね。
「とりあえず行ってみましょ!」
お姉さんが歩きながらそう言った。
「ここか……」
中に入ると、正面にカウンターがあった。説明によると、靴などは脱いでから行くらしい。僕らは鍵をもらって、奥へ進む。
「よし、じゃあ行くぞ」
前にある扉を開けると……
「…………おおおおお!」
「うっわーなにこれすごー!」
そこは、四方だけでなく足元までガラス張りだった。扉を開けてすぐのところにまたカウンターがあり、帰りの時にはそこでタオルをもらって足を拭くらしい。いや、いまはそんなことはどうでもいい。
階段を降り、進む。数段降りたところでお湯があるのがわかった。
「すっご……」
そこはホール状になっており、かなり広い。人は多いが、まったくもってぶつかりそうにもないほどだ。と、広さに驚いていると。
「きゃっ」
後ろの方で白撫さんの声が聞こえて、振り向く。すると、その足元を黒い物体が通り過ぎていった。
「えっ」
通って行ったのは、大きなサメだった。
「えっ、ちょ……」
さっきまでは中の大きさに気を取られていたけど、よく見ると……いや、別によく見なくても、沢山の魚が泳いでいるのがわかった。ガラス張りになっている壁の向こうでも、多くの魚が群れをなし、優雅に泳いでいる。
「どうよ」
僕が呆けていると、翔太がそんなことを聞いてきた。
「……すごいね、もうなんかすごい」
「だろ?語彙力無くすだろ?俺も初めてきた時には腰抜そうになったよ」
普通にガラス張りってだけなら、ここまで驚かないだろう。でも、床までそうっていうのはなかなか無いし、何より足湯だ。足元に水があるせいで、魚たちが足元を泳いでいると錯覚してしまう。そりゃ、腰が抜けるのも無理はない。
ちなみに、近くにはベンチがいくつも置いてあるので、ずっと立っている必要はない。まあ、これもガラスでできているようで、座ったままでも魚が見れる。
そして、僕らがホールにいる魚を見ていると。
「ん?なにあれ」
一部、出っ張っている箇所があった。近くには、スタッフが二人立っている。
「あー、あそこで餌やれるんだよ。行ってみるか」
近づいてみると、どうやらそこは周りとは隔離されて大きな水槽になっており、中にはイルカが二匹泳いでいた。
「すんませーん」
翔太が近くにいるスタッフに声をかけた。
「餌やりお願いします」
「はーい、どうぞー」
料金は一人300円で、一回ずつできる。
僕は一匹魚を渡された。うお……僕、こう、完全体の魚を持つのが初めてだから、ちょっと尻込みしちゃうな……
「ど、どうも」
隣を見ると、白撫さんが真顔で魚を持っていた。相模川さんは、ニッコニコだ。お姉さんと翔太は、もうイルカと戯れている。
「ほーれ、こっちこっち」
翔太は魚を左右に動かし、イルカを弄んでいた。若干、バカの所業である。
「僕もやってみるかな」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
魚だけに。
こんばんは、村人Bです。
途中、良夜くんが「うお……」って言ってるシーンあったじゃないですか。あれ書いて、頭の中に切り込んできやがりました。「魚だけに」。いや、狙ってはないんですよ?狙ってはないんですけど、こう……ね?
まあそんなことは置いといて。
受験生のみなさん、センター試験お疲れ様でした。センター試験応援的なのをTwitterの方で公開しましたので、そちらも読んでいただければと。
多分マジの方でお疲れだと思うので、今日はぐっすり寝てくださいね。
では、また次回。ばいばいヾ(・ω・`)
ついった@murabitoB_narouです。




