三十八話 観光②
次にやってきたのは……
「温泉玉子?」
看板に大きく『おんせんたまご』と書いてある。
「おう。ま、なか入ってみりゃわかるから」
翔太にそう言われ、とりあえず中へ。うぃーん。
「おっすーおばちゃん」
中に入ると、正面にカウンターがあって、そこにはおばあさんがいた。翔太がすんごい馴れ馴れしいけど、どういう関係なのだろう。
「あらあらしょうちゃん、お久しぶりねぇ」
おばあさんは、カウンターを出てこっちまで歩いてきた。
「まあまあ、こんなに大きくなって」
「それ会うたびに言ってんな」
え、どうしようこの雰囲気。なんか、長話始まりそうじゃない?もう、ほわほわーって感じなんだけど。
チラッと他の三人に視線を向けると、「…………」だった。どうしようもなさそうだった。
「あ、そうだ」
翔太が何かを思い出した様に手を叩く。
「紹介するぜ、こっちの三人。俺の友達だ」
いや忘れてたんかい。アキレス腱を伸ばしながらバシッとつっこみたい。
僕がそう考えていると、白撫さんが自己紹介を始めた。
「はじめまして、白撫まどかと申します」
わー、なんか白撫さんっぽい自己紹介の仕方だ。
「おばーちゃんはじめまして!相模川未亜です!」
相模川さんは、大きな声でゆっくりと。うん、そこまでしなくても聞こえてると思うけどね。
「あら、ふたりともかわいいねぇ」
うむ、この後の自己紹介とか軽く死ねるよね。ハードルが富士山だもんね?
「は、はじめまして。一ノ瀬良夜です。よろしくお願いします」
「ええ、ええ、よろしくねぇ。で、どっちがあんたの彼女なんだい?」
一瞬僕に聞いているのかと思ったけど、どうやら翔太に聞いている様だった。
「いや、そんなんじゃねえって。友達だっていったろ?」
「じゃあなんだい。彼女、まだいないのかい?」
「あーもーいーんだよ!それより、温玉五つ!」
翔太が無理やり話を終わらせて、商品を買った。
「はいはい。450円だよ」
今回は翔太が代わりにお金を払い、一人ひとつずつ温玉が手に渡った。
見たところ、普通の温泉玉子だけど……
「やっぱ美味いな」
「ねぇ〜」
翔太とお姉さんが食べたのをみて、僕も食べてみる。
「もぐもぐ……ん?」
なんだこれ。だいぶ甘い。普通に美味しい。玉子による甘さって感じじゃなくて……砂糖だな。
「……なにこれー!」
相模川さんがわかりやすい反応をする。
「……美味しいですね」
まだどこか顔が昏かった白撫さんも、笑顔を浮かべてそう一言。
そして、全員が食べ終わった。
「んじゃ、ばあちゃん、また来るわー」
僕らはお店を出て、次のお店へと向かった。
それからはお腹いっぱいになるまで食べ歩きをした。
「ふー、たくさん食べたね」
相模川さんがお腹をさすりながら言う。
「この後はどうするよ」
「一旦戻る?」
お姉さんがそう提案した。
「それでもいいけど、戻ってもあんまりすることなくないか?」
それは確かに。失礼かもしれないけどね。
ちなみに、時計の針は大体三時を指している。
「でも、この辺りって温泉に入るか食べ歩きするかくらいじゃない?」
「そうなんだよな……あ、あそこはどうだ?」
「あー、あそこ!いいかも!」
どうやら、行く場所は決まった様だった。
でもその前に、どこだよあそこ。
「あーあそこねー!」
と、そう考えていると相模川さんがいきなりそんなことを言った。
「? 未亜は知っているんですか?」
「う?うっうううううんもっちろん?もちろんしってっしー?」
いや、どう考えても知らないだろ。
「ははは。いや、知っててもおかしくないかもな。何回かテレビでやってるし」
そんなに有名なところが、この辺にあるんだ。
「で、結局どこなの?」
知らないことを隠すのを諦めた相模川さんが、翔太に聞く。やっぱり知らないんじゃねえか。
「ふっふっふ、教えてやろう……今から行くところは」
「足湯水族館よ!」
あ、翔太セリフ取られてやんの。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
村人Bだよ。
や、すみませんね。課題が忙しすぎて更新できませんでしたよ。まあ、終わらせましたけど。
と言っても、寝る時間が刻一刻と迫ってきていますので、本編短めで失礼しました。
これでも、30分弱で書き上げましたけどね。
ていうか、学校始まっちゃいましたねえ!地獄ですね!
冬休み中、家に籠っていて気づきました。人と話すことがどれだけ神経をすり減らしていたのか。まじキツいっす。あー、学校行きたくない……
じゃ、今回はこの辺で。ばいばいヾ(・ω・`)