三十五話 一日目夕飯②
一通り魚を串に刺し終えた後。
「おっ、やっぱあるなー」
翔太がワゴンからご飯が入っているのであろうおひつと、蓋のついた茶碗五つ––––一人一つ––––そして醤油差しを取り出した。
「わー、久しぶりだなーこれ!」
と、お姉さんがそんなことを言う。「やっぱある」だとか、「久しぶり」ってことは、名物なのだろうか。
「これなに?」
僕がそう尋ねると、翔太とお姉さんはよくぞ聞いてくれたといった顔で僕の方を見た。
「「…………温泉卵かけ出汁醤油ごはんだ!」」
「お、おう……」
いや、うん。確かに美味しそうだ。でも、そんなドヤ顔で言うことじゃあない。
そう思いつつ、もぐもぐ。
「……なるほどね?」
相模川さんが呟いた。悪いけど、僕には何が「なるほど」なのかがわからないよ。そう思ったけど、白撫さんも「なるほど……」と呟いていた。僕がおかしいのかもしれない。って、んなわけあるかい!
僕は二人を置いておいて、二口目をもぐもぐ。
「……なるほど」
……特に何がわかったわけじゃあないけど、なんとなく「なるほど」って言いたくなる味だった。
それからなんやかんやあーだこーだとみんなでワイワイ話しながらご飯を食べた。
鮎もなかなか美味しかったし、その後に出てきたあれやこれやも美味しかった。お肉もいろんな種類が出てきたようで、違った食感や味付けを楽しめた……あんまり違いがわからなかったけどね。気にしたら負けなのだ。
「さてと……次は風呂だな」
そうだった。さっきまで勉強勉強で忘れてたけど、旅館といえばやっぱりお風呂だ。温泉だ。
「あ、そうだ。浴衣も借りてこなくちゃね」
そうしないと、ラブコメ特有のおはだけシーンが無くなってしまう。いや、自分の人生がラブコメだなんて、微塵も思ったことはないんだけどねっ!夢は見るものだ。
「そうですね。では……片付けも終わりましたし、もう今から行きますか?」
「いこいこー!」
妙にそわそわしている白撫さんと、ウッキウキな相模川さんが立ち上がったので、僕と翔太も立ち上がり、一階へと向かった。
「じゃ、俺らこっちだから」
翔太がそう言い、僕らはお風呂の入り口前で別れる。いや別に?そそそっそそんな、混浴じゃあないのか……とか、おおおおお思ってないし?べっべべ別に?全然しょんぼりなんてしてないし?
ということで、ぬぎぬぎして、お風呂へ向かう。お風呂は何種類かあり、電気風呂なんかもあった。本当に温泉なんだろうか。
シャワーっとしてから、お湯へゴー。とりあえず、右上奥にある一番大きなところに浸かってみる。
「ふぉぉぉぉ…………」
自然と声が出てしまった。全身の疲れが溶け出していく感じがある。あっ待って、学んだことも溶け出しちゃう……まあ、いいや。
「よっ……」
少し後で、翔太が隣に腰を下ろした。そして、少しの沈黙の後、翔太が口を開く。
「……お前さ、少し変わったよな」
……どういうことだろうか。いや、変わったといえば変わったのかもしれない。
「中学の頃はさ、なんだかいろんなことに対して一歩引いてた感じがあったけど。今勉強してる様子を見ると、前のめりに全力でやってるように見える」
そう……かもしれない。なんてったって、白撫さんによろしくお願いしたばっかりだ。そうダラダラと消極的にできるものでもない、とは思う。
「そりゃ、白撫さんが……」
「いや、あの人が今すぐ居なくなっても、お前はその姿勢をやめないと思うぜ?誰が誰がってより、お前が自分から決めた、心の中で目標を掲げたって感じだしな」
どうやら僕は、翔太から過大評価されてるみたいだ。でも、そういうのは期待されてるみたいで悪くない。こりゃ、期待してくれてる翔太のためにも……いや、誰が誰がじゃあ、ないや。
「そう……だね。少なくとも、自分でも頑張ってみたいとは、思ってる」
「なら、サボるなよ、前みたいにな」
「もちろん、そのつもりではいるよ」
んー、少し湿っぽい話になっちゃったみたいだ。
「さてと……いやあ、今の話、向こうにも聞こえちまったかもなぁ……ははは」
そう言って、翔太は斜め上を見上げた。
……おおい、ちょっと待てコラ。向こうって、女風呂じゃねえか!て、ことは……白撫さんや相模川さんにも……
ちょーっとどういうことか翔太に聞こうとした瞬間、再び翔太が口を開く。
「……白撫さん、心配だったんだってよ。こうやって連れてきたのはいいけど、本当はキツいんじゃないか、いきなり量を増やすのはやめるべきなんじゃないか、って」
そう言われ、僕は口をつぐむ。
「でも、今のを聞いたら心配なんていらねえだろ。むしろ、明日からは地獄が見れるぜ?」
うわあ……増やすのは勘弁してほしい。でもまあ、さっきのも本心だ。どれだけ増やされても、やれるところまではやろう。
「……大丈夫。地獄でも、切り抜けていくさ。頑張れると思うから」
そう、白撫さんに投げかける。はたから見ると、翔太に言っているように聞こえるかもしれない。そこはまあ……あれだ、師弟の絆でなんとかするのだ。
––––ちょっと後で、小さく「はい」と聞こえた気がした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
やあみんな、僕さ!いやあ、ごめんね?マイハニーを愛でていたら更新が遅くなってしまったよ、アハ☆
……ごめんなさい、ちょっとこのテンションきついっす。
えー、正直にいうと、無職転生読んでました、遅れました。シルフィちゃんかわいいです。
それから、なーんであんなに面白いんだろうな……と、自分なりに考えてみたところ、『挫折』でした。こんな後書きで言うことではないのでさらっといっちゃいますと、ほかの作品に比べて、『無職転生』の挫折は、エベレストよりも高くマイアナ海溝よりも深いんですよね。しみじみと感じました。
……と、話を変えましょう。止まらなくなってしまいます。
学生の皆さん。そろそろ冬休みでしょうか。僕は明日からです。とはいえ、時間があまりありません。なぜか。そりゃ、課題があるからですよ。我らが学生の天敵ですね。死んでしまいます。やだなぁ……
てことで、冬休みに入っても更新頻度があがんないかも、ということです。ご了承下せえ。
じゃあ、ばいばいヾ(・ω・`)




