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二十六話 相模川さん

「では、まずもう一人連れて行きたい人に連絡を取ってみるので少し待っていてください」


 そういうなり、白撫さんはカバンからスマホを取り出し、ピコピコと文字を打ち始めた。


 すると、間も無くして電話がかかってきたようだった。


『もしもーし』


「もしもし。こんにちは、未亜みあ。今大丈夫ですか?」


 電話の相手は、未亜さんというらしい。


「ゴールデンウィークは空いてますか?」


『うん、そういうと思ってすっからかんだよー』


 それはそれでどうなのかって思うけどね。


「では、今はひまですか?」


『うん、めっちゃ暇だよー』


「良かったです。なら、今から学校へ来てください」


『やだ』


 僕はその一言で理解した。この人、勉強できないよねっ!


「私は今寮に住んでいるからですよ。一緒にお話ししません?」


『おっけわかった飛んでいくわ』


 あー、白撫さんは勉強できない人を扱うのが上手いんだなー。


 それから十分ちょっとくらい経つと、『着いたよー』と白撫さんのスマホに連絡が来た。


 白撫さんは「では、連れてきますね」と言って玄関まで歩いて行った。


 「そっちで手洗いうがいしてから来てください」と聞こえ、その後白撫さんと、もう一人がリビングにやってきた。


「紹介します。私の友人の相模川さがみかわ 未亜みあです」


 現れたのは、茶髪ショートで元気そうな女の子だった……あれ、どっかで見たような……


「はーい、相模川 未亜でーす!呼び方はなんでもいいよ!さがみんとか、普通にみあとか呼ばれてます!」


 ん?なんだかこっちをチラチラ見てるような……


「あー、覚えてない?ほらあたし、君の隣で受験してたよ?あの時はシャーペンと消しゴム貸してくれてありがとね!」


 ん?受験……あっ!


「あー!あの時の!」


「そうっ!あの時の!」


 そういえばいたなぁ、こんなテンションの人。入試の日も「ごめん、シャーペンと消しゴム貸してくれない?」って言われて、「あ、はい……これでいいですか?」って聞いたら「はい、これでいーです!ありがとねっ!」って言われたわ。完璧に思い出した。


「あれ?二人はお知り合いなんですか?」


「いや、そこまでじゃないんだけどねー。ただ、入試の時に筆記用具借りただけだよ」


 相模川さんが手をヒラヒラとしながら言った。


「ま、とりあえず、二人とも座ってよ」


 僕はそう言って、二人が座るのを促す。


「そうでした、失礼します」


「はーい」


 白撫さんが僕の右側に、相模川さんがテーブルの角を挟んだところに、四人で四角い机の三辺を使って座ったのを確認してから、翔太が話し始める。


「よろしくな、相模川さん。俺は吾野あがの翔太しょうただ」


「はーい、よろしく翔太!さがみんか未亜でいいよ!」


「……おーけー、未亜」


「うん!じゃ、えっと……」


 相模川さんが僕の方を見て首を傾げた。


「あ、僕は一ノいちのせ 良夜りょうや。よろしくね」


「よろしくね良夜!それじゃ、あたしのことはさがみんって呼んでね!」


「いや待ってハードル高くない?」


「そう?じゃ、未亜でいいよー」


 名前呼びでも僕には厳しいんだよな……


「よ、よろしく、相模川さん」


「むー、つれないなー。ま、いいや」


 いいんだ。なんかさみしい……


「じゃ、色々決めようか」


 翔太が再び話し始める。


「うん、あたしには一から説明してね!」


「おう、任せとけ」


 ……全部聞いて、絶望しなければいいけどね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ハイテンションですね。

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