二十五話 プロローグーちょっとまってよお二人さん
第二章でござんす。
さてさて、寮に帰ってきたんだけども……
「おかえりー、良夜」
なんでか翔太が家の前にいて、
「た、ただいま。どうしたの?」
「おう、とりあえず家に入ってカレンダー見てみろ」
いきなりそんなことを言われた。
「あ、じゃあ僕はこれで、じゃあね白撫さん」
「はい、さようなら」
と、自室に入ろうとした白撫さんを翔太が呼び止めた。
「ちょっと待って。白撫さんにも用があるから」
「は、はい。では、荷物だけ置いてきますね」
白撫さんはぬいぐるみが入っている袋を持って自分の部屋に行き、また戻ってきた。
僕は白撫さんがこっちまできたところで玄関の鍵を開ける。
「お邪魔しまーす」
「お邪魔します」
二人が入ったのを確認して鍵を閉め、僕も中に入った。
三人とも手洗いうがいをしてからクッションに座る。
「で、カレンダーだっ……け……」
言われた通りにカレンダーを見てみると……驚愕の事実が判明した。
「え、嘘だ……ま、まさか、今日から……」
「おう、そのまさかだ」
僕は翔太を見たあと、白撫さんの方に視線を向ける。すると、白撫さんは僕らが何について話しはじめたのか分かったみたいで、その答えを口にした。
「あぁ、そういえばゴールデンウィークでしたね」
「「ザッツライト」」
僕と翔太が指を「パチン」と鳴らし、声を合わせて言った。
「で、だな。こっからが重要だ。一昨日、二十九日は本来休みだったけど、テストで潰れたろ?」
「うん」
「その休日が六日、つまり木曜日に移動した。そして、二日後は土日ってことで金曜も休みになったろ?」
あれ、そんなこと言ってたっけ?
「そうですね」
どうやら、白撫さんは知っているみたいだ。てことは、どっかで話があったんだろうな。危ない危ない。僕だけ休日に登校するところだったよ。
「これがどういうことかわかるか?」
「えーっと、もともと月曜から水曜まで祝日で、そっから二日、からの土日だから……えっ、今日含めて九連休?」
「おう」
えっ、え?何故僕は気づかなかったんだろう……
「てことでだな!」
翔太がズバッと立ち上がった。なんだろうと思った瞬間、白撫さんの声が聞こえてきた。
「却下です」
「いや俺まだなんも言ってないけどね?」
「却下です」
白撫さんはどうしても却下したいらしい。何も言われてないのになぁ。
「き、聞くだけ聞いてみようよ」
このままでは翔太がかわいそうなので、助けてやる。
「……仕方ないですね」
「ナイスだ良夜。で、何を言いたいかっていうとだな」
ご、ごくり。
「俺のばあちゃん家で勉強合宿しようぜ!」
いよっし全力でツッコむぜ!
「ねえまって翔太何もそこまでして勉強しなくてもいいと思うっていうか白撫さんは一緒にいはじめてまだ一週間だしそうじゃなくても流石に僕らなんかとそんなに長く一緒に居たくないんじゃないかな、色々怖いだろうし!!?ね!白撫さん!」
ここで白撫さんが否定してくれなければ僕はとてつもない勉強量を強いられるし世間的にも良くないからね!さっきフードコートであんなことを言った手前たくさん勉強することにはなるだろうけど死ぬほどやるわけじゃないもんね!へへっ!
「私は別に構いません、というかいい案ではないですか」
「だよねだよねそうだ……えっ」
「うぇっ」
「え?」
多分、僕、翔太、白撫さんの順だろう。
「な、何か問題でも?」
「い、いや、そうじゃねえけど……」
おそらく翔太自身もオーケーされるとは思っていなかったんだろう。すごい狼狽えてる。
「なら大丈夫ですね。あ、ですが私一人だけ女というのも心許ないので、友人を連れて行ってもいいですか?」
「あ、あぁ、大丈夫だ」
ということで、ゴールデンウィーク勉強合宿が決定してした。いや、してしまった。して欲しくなかった。くそう。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
勉強合宿とか地獄ですね。あぁ、僕、こんなお話書いてますけど勉強なんて一切してないですよ?ほら、課題がまだこーんなに(白目)




