第十七話 第二回補習ー後編と土日の約束
「ふぉーえぶりわん……っと」
現在午後九時前。今日は三時間弱英語を勉強したけど、たったそれだけでかなり理解……いや、文法やらなんやらを頭に詰め込めた。僕、優秀。理解は、してない。
「正解です、出来るようになってきましたね」
白撫さんが、僕の解答と答えを見比べて言った。
「脳死で覚えたからね」
まあ、僕の場合はテストで点を取るのが目標だし、付け焼き刃で充分だろうとは思うけどね。大学受験?なにそれおいしいの?って感じだ。
「それじゃあ、このページが終わったら終わりにしましょうか」
「うん、わかった」
このページ……あと二問か。ちゃちゃっと終わらせるか。って、ちゃちゃっとって言えるくらいには、英語ができるようになったのか。
そんなことを考えながら、サラサラっと答えを記入していく。
「…………よし、終わった」
「だいぶ早く解けるようになりましたね……うん、二問とも正解です。お疲れ様でした」
「ふぅ〜〜……」
疲れた。これが毎日続くのか……あ。
ちょっと休もうと思って机に突っ伏したが、白撫さんに聞くことがあったのを思い出して再び顔を上げる。
「白撫さん、前に土日にワークとか買っといてって言ってたけどさ」
「はい」
「……どうやって選べばいいの?」
僕がそう言うと、白撫さんが「えっ……」と、この世に存在しないはずの物を見るような目で僕を見てきた。僕はここに存在してるよ!
「……わかりました、土曜日は私も同行します」
なるほどぉぅ……?つまり?休みの日に女の子と?お出かけ?白撫さんと?お出かけ?
「……ほんとに言ってんの?」
「でなければどうするのですか?」
ちょっと疑心暗鬼だったので聞いてみたところ、逆に質問されてしまった。つまり、僕とお出かけするのになんら抵抗はないと言うわけだ。
その結論にたどり着いた瞬間、『お出かけ』というワードが1つ残らず『デート』に変わってしまった。
白撫さんとデートっっっ!?
うっそぉ!デート!デート!でー……
「気持ち悪いわっ!」
バチコォンッ!
気がつくと頭の中がただただ引くほどヤバいやつだったので、自らビンタして煩悩(というより気持ち悪いだけの思想)を頭から追い出す。今、僕の左頬には赤い手形が付いていることだろう。あー、めっちゃ痛い。
「え?えっ、えっ、私、気持ち悪かったですか?」
どうやら今の僕の行動を見て、白撫さんは自分が気持ち悪いと思われたと思ってしまったようなので、しっかり訂正しておく。
「ああ、違うから安心して?僕が僕を戒めただけだから」
「そ、そうですか……?」
白撫さんの頭の上には未だにハテナマークが浮かんでいるが、まあ大丈夫だろう。
「そうだ、もう一ついい?土日に補習はあるの?」
僕は無いに賭けて聞いてみた。無いよね?
「そうですね、土曜日は多目にやって、日曜日はゆっくりできるように少なめにするつもりです。開始時間などは明日おしらせします」
「はーいりょうかーい……」
やるのかよっ!いや、僕の成績が低いから悪いんだけどさ?休みの日って休むためにあるじゃん?休みの日なんかに勉強したくないじゃん?
「では、そういうことでよろしくお願いします。では、今日はこれで失礼しますね」
そう言うと、白撫さんがカバンを持って玄関へ向かったので、僕も見送る。
僕が上がり框よりちょっと内側に立ったところで、白撫さんはくるりと回った。それに連動して、少しだけ髪がふわっとなびく。それから、彼女は優しく笑った。
「お疲れ様でした、おやすみなさい」
白撫さんは、ペコっとお辞儀をして帰っていった。
⭐️大事なお知らせがあります⭐️
ここまで読んでいたいありがとうございます。
僕は現在原因不明のイライラに襲われています。今はこうして文字を打っていますが、一触即発です。何が言いたいかというと、投稿頻度がガクッと落ちる可能性がありますが、もしそうなってもいつかは再開するので忘れないで欲しいです。
よろしくお願いします。




