百五十話 逆ナン
「なぁ、良夜…………」
「………………うん」
「これがモブか…………」
「…………うん」
「つらいなぁ……」
「…………うん…………」
お分かりだろうか。僕らの視線の先には人だかり。その渦中には、四人。もちろん、白撫さん、小鳥遊さん、相模川さん、春原くん。
そりゃ、わかるさ。モデル二人と美少女二人、合わせて四人。視線が集まるのも納得できる。けどさ。
「………………なんか食うか」
「うん……………………」
格差社会ってやつかぁ…………?
そんなこんなで開幕ダメージを受けた僕ら二人だった。僕はともかく翔太もあそこに入れないって、四人はレベル高かったんだなあ……はは。
「とりあえずジャン負け奢りな。じゃーん」
「ぽんはい僕のかちー」
「おい卑怯者」
「とりあえず生で」
「おい犯罪者」
最初から冗談だとわかり切っているので買ったものの代金は各々自分で払う。
「あそこ空いてんな」
翔太が運良く空いている席を見つけたので、二人でそこに座る。
「…………なんで俺らプールまできてコーラ飲んでんだよコンビニで買えばいいじゃねえかよ」
「僕もなんでポテトつまんでるんだろうね、マ○クいけよ」
未だ解放される見込みのない四人を眺めながらぼーっとポテトを口に運ぶ。
「…………最近どうよ」
「なんだよ藪から棒に」
「つくねのがすき」
「たぶん唐揚げ棒だよねそれ」
「で、どうよ」
「聞いてないねお前…………どうよって、なにが?」
なんかこれ、微妙に長い期間会ってなかった父との会合みたいで嫌なんだけど。
「お気持ち」
「…………まだ」
「そ」
「そう」
「……………………腹減ったなぁ」
「え、そんだけ?言うことないのに聞いたの?」
「あとちょっとなんだろ、多分」
………………なのかな…………?
「で、俺の話聞いてる?」
「いや聞く要素なかったけど」
「腹減ったなぁ!」
「めんどくさい彼女じゃんそれ。ポテトはあげないけど」
「けちいなお前九割よこせ」
「がめつさここに極まれり」
暇すぎて、話すことがなくなってきた。そろそろ水に浸かるか。
「翔太、そろそろ…………」
「ねぇ、君たちー」
お姉さん二人組にいきなり声をかけられた。これはあれか、逆ナンってやつ!
「今暇ー?」
「あー、まぁ」
興味なさそうに、翔太が答える。でも知ってるよ。こいつ、多分いつもなら喜んでついていくんだ。でも今は相模川さんがいるからこんな反応なんだよ。
「んじゃ私たちと––––––––」
「あの」
そんなところを見て声をかけてきた女性が一人。
「え?なんですか」
「片方、私の彼氏なのでそう言うのやめてもらえませんか」
ということは、もちろん––––––––
「いきましょ、ダーリン」
…………僕の腕が引っ張られた!? あれ!?
「え? あ、ちょ、し、白撫さん!?」
「私、次はあれ乗ってみたい!」
そう言って白撫さんが指さしたのは、二人乗りのウォータースライダー。
「いこいこ!」
「ちょ、ま」
僕の言葉を聞かず、白撫さんは僕の腕に体をくっつけて歩いていく。
「…………良夜、頑張れよ」
想定外が過ぎる!




