百四十六話 いつのまに
「よし、それそっち持ってって!」
「これ向こうでいい!?」
「うん、よろしく!」
そんな風に、教室内に声が響く。
「今から買い出し行くけど、いるもんある?」
「あ、じゃあ––––––––」
「はいそっちもって!いくよー、せーの!」
「ちょっと待って、絵具足りなーい!」
生徒一人一人が忙しなく動き、各々の仕事をしていく。
「よし、完成!あとでこれ全員にわたすねー!」
小鳥遊さんが何やら紙の束をぶんぶんと振っているので、声だけかけておく。
「何かわかんないけどありがと!」
「うんっ!」
さてと、僕は……ハサミハサミ、と……
「……あっ」
「あ」
僕と同じくハサミを手にしようとした白撫さんの手に触れてしまった。
「ご、ごめん、先どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
あー、さっきの翔太と相模川さんの話のせいでいろいろ気まずいわ!ちょっと離れよ!
とりあえず一度、教室を出て廊下のベンチに座る。あのままいたら、忙しない喧騒に飲み込まれて何もないのに焦り出しそうだったから。
「ふぅ…………」
「いやあ、大変だね」
「もう、ほんと…………にぃっ!?」
いつのまにか、隣に人が座っていた。
「な、なんで優純さんがここに……?」
「うん、なんでも連絡してくれと言ったのに何も言ってくれないから、思い切ってきてみたんだよ」
あ、割と暇なんだ……
「ところで」
あ、やばい、僕の危機察知センサーがびんびんに訴えかけてきてる。やべえぞって。
「最近、まどかとはどうだね」




