百四十四話 ちょっ、まて。
「で、では、私はこれで…………」
青い顔をした白撫さんが、よろよろと立ち上がって自室へ戻って行こうとする。
「あ、白撫さん、DVD忘れてるよ」
「あぁ…………差し上げます……では」
あれは相当きてるね。
ちょっとヤバそうなので玄関まで送った。
「では、おやすみなさい……」
「うん、おやすみ」
––––かちゃ、と扉が閉じ––––再び開いた。そこには、涙目の白撫さん。
「ついてきて……くだしゃい……うう」
「うん……」
なんか、怯える子ウサギみたいで可愛いな。でもね、白撫さん。五歩歩けば君の部屋なんだ。
「ふぅ……では、おやすみなさい」
「うん」
何事もなかったかのように、彼女は部屋へ入っていった。それを確認してから、僕自身も自室へ戻る。そして、パジャマに着替えたり歯磨きを終えて。
「さて、寝るか……」
ホラーとか見た後って、天井の隅とかの暗くなってるところが気になってしょうがないよね。
「んしょ……」
「いやぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ」
悲鳴が近づいてくる!?
「助けて一ノ瀬君私死んじゃいます!開けて開けて!」
落ちそうになっていたまぶたを上げ、玄関へ。
「うえええええ」
「うおっ」
「怖いよぉ……」
今度は涙目どころか涙を流している白撫さん。
「寝れないよぉ……」
なんかキャラ変わってない?っていうかパジャマかわいっ!!
「は、はは、とりあえず中入る?」
「うん……」
うん、て。
白撫さんをベッドに座らせ、僕もまたそのとなりにすわる。
「………落ち着いた?」
「……………………はい、すみません……」
「戻れる?」
「無理ですね」
うん即答だ!
「その、ベッド、使う?」
「…………はい」
少し安心したのか、白撫さんの瞳はもうとろんとして眠そうだ。無理をさせずに、ベッドに横たわらせる。
「一ノ瀬君も……こっち……」
「え?」
ぐっと抱き寄せられ、二人でベッドになる形になってしまった。
「えへへ…………一ノ瀬君の……におぃ……すぅ」
…………ちょっとまて!なんで僕抱き付かれてんの!?いろいろあたってるしいい匂いするし寝れそうにないんですけどっていうか僕の匂いってなに!?
……まあ、気持ちよさそうに寝てるし、動かないでおくか……あっまって無理腕痺れてきた。




