百四十三話 注意?
「理由は言えないが…………それでも、頼みたい」
春原君が、頭を下げた。
「……………………ごめん。それは、頼まれてすることじゃ、ないと思うから」
まだまだ、僕のなかでは答えが出てない。もしかすると心のなかではもう決まっているのかもしれないけど、自覚だってない。
「…………そうか………………できれば、無下にはしない方がいい。あと、これも本当にできればだが…………できるだけ、寄り添ってやってくれ」
アドバイスだろうか、頼みだろうか?
「気を付けろよ、色々と難しいものだから」
「…………ありがとう。よくわからないけど」
「ああ」
それで、話は終わった。
そして、夜。
ピーンポーン、とインターフォンが鳴る。
「はーい」
モニターには、顔を真っ青にする白撫さんが映っていた。
「一ノ瀬君、た、たしゅけて…………」
「ど、どうしたの?とりあえず上がって?」
「は、はい…………」
なにやらぷるぷる震える白撫さんを座らせ、お茶を出す。
「で、何があったの?」
そう聞くと、白撫さんは手に持っていた鞄から一枚のDVDを取り出した。
「これは?」
「ホラーです、ホラー映画です…………」
え、何で持ってきたん?
「えっと………」
曰く、優純さんから送られてきたらしい。なんでも、会社として映画を撮ったから、見て感想を聞かせてほしい、とのこと。
「でも、怖いのは嫌いだから僕を道連れにしようと」
「はい」
キッパリ肯定されたけど!?
「まあ、見ようか……」
とりあえずプレイヤーにDVDを入れて再生の準備をする。座ると、左側に座る白撫さんに腕を掴まれた。これは…………楽しめそうかも。
「…………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
そんなこともなかった。っていうか、夜だから静かにね。




