百四十二話 言えない
「一ノ瀬、このあとちょっといいか」
その日の帰り、なにやら春原君に呼び出された。告白では無いはず。場所は、あまり人がこない倉庫前。一応校舎内だ。
「どうしたの?なんかあった?」
「あぁ。その、ちょっと言いにくいことだ」
告白では無いはず。
「お前には悪いと思ってる」
ここで死ね的な?…………無いか。
「と、とりあえず話を聞かせてもらっても?」
「ああ」
え、なんかヤバイ気がしてきた。
「––––付き合ってほしい」
「おぉっとぉ!?」
まって、世界よ止まれ。今状況が理解できない。まずは僕の処理速度をcore i9にするところから始めないと。あ、core i9ってのはパソコンのなんかすげーやつね。って、それはよくて。
誰が?誰と?…………わからないや、聞こう。
「…………誰が?誰と?」
「? もちろん、一ノ瀬と奈夢が、だ」
イチノセトナユ?…………あ、ああ、僕と小鳥遊さんね!あー、ビビったぁ!どうやって受け止めたらいいかわかんなかったわ!
…………でも、なんで?
「そ、それはどうして?」
「…………理由は、言えない」
春原君の表情が、一瞬にして暗くなった。




