百三十三話 やっちまったぜポスター組
動悸が荒い。なんで?今までこんなことはなかったのに。見ているだけで顔が熱くなる。視線をうまく合わせられない。話す時だって、毎度毎度どもってしまう。
「なんだじっと見つめて」
「あ、いやっ」
なのに、気がつくと彼のことを見ている。
「????」
彼はきっと私のことなんて眼中にないんだろう。
でも、私は。
気がついたのは、いつだったか。最初に二人でお嬢様と良夜の跡をつけた時だったかもしれない。いいや、そんなに早くはないか。なら、先週?それだと近いかも。それとも、だんだんこんな気持ちになったの?
とにかく、自分の気持ちに気がついたとき、どうしたらいいかわからなかった。お嬢様にあんなに偉そうに口出ししておきながら、自分は不器用だなんて。知られたら笑われること間違いない。
「……本当にどうした?」
「だっ、だからなんにもないって」
彼が私の顔を正面から見つめてくる。やめ、やめてぇ!恥ずかしい!
…………恥ずかしい。そんな感情も、久方ぶりだ。というか、その…………恋が。初めて、かも。
あぁ、この気持ちを外にぶちまけたい。いっそ言ったら楽になるのだろうか。でも、今でいいのか?
「とりあえず、戻って作業続けるか?それともここで?」
「ま、任せる」
っていうか!さっきご主人に言ったんですよ!『やばい恋したどうしよう、仕事こなせなくなるから今週休ませて』って!そしたら、ねぇ!なんて返ってきたと思う!?
『相手は翔太君かな?ダブルデート、写真よろ』だって!はぁ!?いやいやいやいや、そうじゃないのっ!『ちゃちゃっと告白したら?今からいきたまえよ』だって……ええ?えっ、そっ、えぇ……?…………ったく。本当に!正面から言えたら苦労しないの!
「…………い、おい!」
「…………あっ」
気がついたら、私は人混みに流されていた。
「えっ、ちょ」
「っあぁもう!」
あ、足が引っかかって……!くっ、私とあろうものが……!こうなったら、グラップルで!……あ、今日置いてきた……!
「よっ」
「きゃっ」
不意に伸びてきた手に、引き寄せられる。
「おおっ……」
「ぁ…………」
「大丈夫か?」
「…………すきぃ」
「……………………ん?」
「あっ」
えー、私高校生、相模川 未亜。初恋、やらかしました。
ちょっと前まで常に冷静でいられたのに、どうしてこうなったの?




