第十三話 VS山吹先生
今日、感想をいただきました。感謝です!ありがとうございます!
ひなちゃんせんせーが連絡事項を全て僕たちに伝え終えた。よし、一時間目の用意をしよう。
えーと……一時間目は日本史か……ふっふっふっ……まずい、笑いがこみ上げてきてしまうっ!
「ふふふ、くふふふふ……」
「おい、どうした良夜?気持ち悪いぞ?簡単にいってダイオウグソクムシのお腹より八千倍気持ち悪いぞ?」
翔太が僕の方を振り返りながらそう言った。
まぁ、気持ち悪いだろうってのは自分でもわかるさ。でもね?
「いやぁ、次は日本史だね、翔太くんっ!」
「お、おおう……」
「今日は、いつもと一味違うぞ?」
「あー、そういう……」
翔太は納得したような表情を浮かべた。
「お前、いっつも山吹に馬鹿にされてたもんな」
山吹とは、日本史の先生である。そして、なぜ僕が日本史の先生に馬鹿にされていたかというと。
「そう!あいつ、僕が何にも覚えてないのを良いことに僕ばっかり当てて、恥をかかせてくるんだ!」
だがしかぁし!今日は違う!
「今日は、目にもの見せてやる!」
「ちょ、ちょっと待て」
翔太が、僕に両手の平を向けて来た。
「もしかして、良夜のエンジンの何割かはそれでかかったのか?」
その言葉に、僕はすっと顔を背けた。
「おいこら」
「ほ、ほら翔太、前向いて?もうすぐ授業始まるから」
「……そうだな」
なんだか満足していない表情だったけど、気のせいだね。
翔太が前を向き、僕が机の上に教科書や資料集、ノートなどを出したところで山吹先生が入ってきた。
「おはようお前ら。お・は・よ・う?い・ち・の・せ」
山吹先生は教卓に教科書を置いてクラスを見渡して挨拶した後、標的を僕にロックオンして挨拶して来た。全く、憎たらしい顔だな!
「ええ、おはようございます、山吹先生?」
ふっ、どうだ、この返し、この顔!きっと今、山吹先生にはうざすぎる僕の顔が見えていることだろう。なんせ、さっきトイレに逃げ込んだ時に気を紛らわそうとして練習しちゃったからね!
「ほ、ほう?今日は眠くないんだなぁ?」
山吹先生のこめかみに血管が浮き出ている。
「はい、ばっちりです」
苛立ちが目に見える先生とは逆に、僕は満面の笑みで対抗する。いやぁ、勝ち戦は楽しくて仕方がないや。
そう考えていると、始業のチャイムが鳴った。
「では、授業を始める。挨拶!」
「きりーつ、れーい」
「「「おねがーいまーす」」」
「オラ答えてみろ一ノ瀬ェ!」
飛んできた怒号を跳ね返すように、僕は回答する。
「森 有礼」
「ぐっ……正解だ」
ふん、どうだ!これが補習の成果よ!
山吹先生は苦々しい表情を浮かべ、クラスメイトは驚愕で染まる……ちょっと待て、君らの中での僕はどんなひょうかなんだよ!……ま、いいや。
前の席の翔太は既に僕がどれだけできるようになったか知っているので、特になんのリアクションもしていない。そして、白撫さんはキラキラした目でこっちを見ている……気がする。いや、確実にそうだ!
「オラよそ見すんな一ノ瀬ェ!これはぁ!」
僕は、無いメガネをクイッとして、ドヤ顔で答える。
「公・候・伯・子・男」
これは、華族令を制定した際の爵位である。この爵位を持つと華族とされるのだ。みんなもおぼえておこうね!
「くっそぉ……せ、せい、かい、だっ……」
それから何問か答えたところで、チャイムが鳴った。
「ふ、ふん、今日はこのぐらいで許してやる。挨拶」
「いーつれー」
「「「あーとーざましたー」」」
僕、完勝っ!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
皆さんにはこんな先生や上司がいますか?もしいたら、しっかり勉強して見返してやりましょう!
ちなみに、ダイオウグソクムシってのは深海に棲むでっかいダンゴムシです。45cmあります。
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