百二十四話 いつか聞かせて
それは、ずっと僕が悩んでいることで、未だ答えは出ていないことで。どうしたらいいのか……いや、どうしたいのか、わからなくて。
でも『わからない』ではぐらかせるくらいの、話し方じゃ、目じゃ、なくて。
それでも、やっぱり『わからない』以外の答えは出なくて。
「……………………僕、は」
白撫さんは、待ってくれた。
「僕は…………」
そして、気づいたんだろう、僕がわからないと思っていることに。
「私は」
真っ直ぐ僕の目を見つめて、続けた。
「私は……一ノ瀬君のことが、好きです」
はっきり、そう口にした。
「あなたは私の中で一番大切な人です。他の何よりも」
まだ、止まらない。
「寝る前も目が覚めた時も、あなたのことでいっぱいです。今の私の行動の基準は、すべてあなたです」
普段はそんなこと口にしないんだろう。
「今の私は、あなたによってできているんです」
そう、想いを伝えてくれた。
「………………」
「好きです」
たった一言、伝えてくれた。
「白撫さん、僕は…………」
「わかってますよ」
僕は、彼女のように綺麗な言葉で返す事は叶わない。それを、優しく受け止めてくれた。
「今の一ノ瀬君は、納得できる答えが出ていないんでしょう?」
「…………うん」
「大丈夫です、答えは求めません。ただ……」
彼女は、にこりと微笑んだ。
「いつか、聞かせてくださいね。答えを」




