百十四話 先輩
話し合いがお開きになってから数分。
小鳥遊さんは『連絡ついたから行ってきまーす!』と言って飛び出していき、春原君が『俺も』と一言、翔太と相模川さんも『自分の部屋でやる』とのことで、自宅に帰っていった。
ポスター組はまだあまり人数がいないらしい。
「僕らはどうしようか」
正面に座る白撫さんに聞いてみる。
「私たちも、募集をかけてみましょう。できればバイトをしている人などがいいかな、と思います」
そんな人いるのかな……?メイド喫茶で?流石にいないね。喫茶店ならまだいそうではあるけど…………
「とりあえず聞いてみようか」
クラスチャットで、『喫茶店でバイトしたことある人いますか』と聞いてみる。
『ひなちゃん』
『せんせ』
『ひなちゃんせんせー』
『ひなちゃんそうじゃなかった?』
『たしかメイド喫茶』
……………………う、嘘だろ……??
「えー、白撫さん」
「…………はい……」
恐らく彼女のスマホにも通知がいって内容を知ったのだろう。
「…………電話、してみるよ」
「……………………はい」
なんでこんな変な気持ちにならなきゃいけないんだ……
『はいもしもし、私立才王高校でございます』
「あ、もしもし。日向 悠香先生はいらっしゃいますか」
『はい、少々お待ち下さい』
その間、ちゃんちゃらちゃんとこっちを小馬鹿にするような音楽が流れる。なんだおめぇ!
『ただいま替わりました、日悠香です』
「もしもしひなちゃんせんせー」
『あら一ノ瀬君、どうしたんですか?』
ちら、と白撫さんに目配せする。
「…………単刀直入に聞きますが」
『は、はい?』
「メイド喫茶でのバイト経験があると聞いたんですが」
ツー、ツー、ツー、ツー…………
「切られた!?」
そのパターンは想定してなかったよ!?
「ど、どうしようか……?」
「もう一度、かけてみますか?」
「了解」
ダメ元で、もう一度電話してみる。
『はい、才王高校でございます』
「すみません、なにか手違いで通話が切れてしまいました。先ほど電話させていただいたのですが、もう一度日向先生につないでいただいてもよろしいでしょうか?」
『はい、少々お待ち下さい』
でてくれるかな?
『…………もしもし』
「メイド長、相談があります」
『! …………どうぞ』
あれ?なんでこれでうまくいくんだよ、からかっただけなのに。まあいいか。
「文化祭の企画、今のところメイド・執事喫茶の予定なんですけど」
『はい』
「内装をどうするかという話になっていて」
『…………なーんだそんな話ですか!私に任せてください!はぁー、『もえもえきゅん♡』のやりかたを教えてなんて言われたらどうしようかと!』
「あ、じゃあそれもお願いしますね」
『ひどいっ!』
よしよし、これでどうにかうまくいきそうだ。
「じゃあ、明日一度後者の方に行きますね」




