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百八話 久しぶり

 お姉さんがくるということで支度をしていたけど、さっきの悩みはずっと頭の中をグルグル回っていた。


「…………はぁ」


 考えても考えても、わからない。というより、どうしたらいいのか、そもそも今どうすべきなのかもわからない。


「うーん…………」


 普通の勉強に比べると、解答解説がないからこっちの方が数倍は難しいな、なんて考える。


「…………はぁ」


 あー、だめだだめだ。今日何回目のため息だろう。

 自分を律しなければと思いつつ、支度を終える。すると、ちょうど終えたタイミングでインターホンが鳴った。


「はーい」

『良夜君、お姉さんが来たよ!』

「は、はい」


 三ヶ月ぶりくらいに会うのかな。なんだか、緊張してしまう。


「こんにちは」

「こんにちわ〜!」


 ニコニコ微笑むお姉さんを、中へ招き入れる。


「お邪魔しまーす」

「どうぞー」


 当たり前だけど汗をかいていたから、冷たいお茶を出す。


「ありがとう」


 お姉さんは少し口をつけて、机の上にコップを置いた。お茶、好きじゃないのかな?


「お久しぶりです」

「だね」


 …………沈黙。何を喋れと?どうしろと?会話続かないんだけど?ていうか、ずーっとこっち見られてるの何?


「……………………やっぱり」


 お姉さんがポツリと呟いた。


「はい?」

「良夜君、最近顔色悪いよ?」


 最近?最近は会ってないよ?…………あ、翔太から写真とか貰ってるんだったか。軽く盗撮だよねそれ。


「いや、顔色っていうよりも『調子悪い』の方が合ってるかも。何かあったの?」


 さすが大人というべきか(年齢は知らないけどね)、色々と察せるらしい。でも、いう必要もないことだ。


「いや、そんなこと無いですよ?」

「……うそ。私の眼はごまかせないよ?」


 何その眼。カゲ○○デイズかな?


「どうしたの、何があったの?」


 机を挟んで正面に座っていたお姉さんは、移動して僕の右側に腰を下ろした。


「い、いや、別に」

「そう?無理しないで、お姉さんならいつでも相談乗るよ?」


 ………………そう言ってもらえるなら、甘えさせてもらってもいいのかもしれない。


「えっと」

「うんうん、恋かな、それとも友人関係?成績……は、最近すっごく良かったもんね」


 あっ、そこまで知られてんだ!?


「え、ええと……その、今言ったのだと、恋、に入るのかもしれないんですけど……」

「………………えっ?」

「えっ?」

「……………え、ええ、ええ、こ、恋ね?わかった、ちょ、ちょっと待ってね?」


 お姉さんはいきなり僕に背を向け、一人でぶつぶつ呟き始めた。


「こ、恋?私の良夜君が?そ、そんな……で、でも、女の子に優しくしてる良夜君、見たい……!いや待って、相手が私ならどんなに良かったの……!?ち、違う!私は良夜君に一目惚れしたっていってもそんな関係になりたいわけじゃなくて、愛でれられればそれで……いやでも、でもでも!…………って、違うでしょ、私!」


 なにやら一人での葛藤を終えたお姉さんは、再び僕の方を向いた。


「いいよ、任せなさい!」

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