百五話 でーと!⑤
お昼を食べ終えたのは、午後4時ごろのことだった。
「ずいぶん時間かかっちゃったね」
とはいえ、今は夏。太陽はまだ高く。
「次はどうしようか」
「しゃ、写真を撮りましょう!」
ブンブンと腕を振りながら、白撫さんがスマホを取り出した。あーあー、そんなに手振ったらスマホ飛んでっちゃうよ……
「ど、どこで撮ろうか?」
「どこでも大丈夫ですよ!撮るのが目的なので!」
身体の正面で握られている彼女のスマホには、いつそうしたのだろう、さっき撮ったプリクラが貼られていた。
ねえ、本当にいつ貼ったの恥ずかしいよやめて?確か剥がせるやつって書いてあったよ、剥がそう?
「なんならここでも構いませんが!」
「いや、人がいるからやめとこうよ」
「た、確かにそうですね」
写真、っていってもなぁ。特にそういうスポットとかなかったよねここ。
「じゃあ、ちょっと早いけどもう帰って、校門前とかどうかな?」
「そうしましょう!」
ということで、出口へ向かっていると。
「あ、あのぬいぐるみ……!」
ゲームセンターの前を通ろうとしたところで、白撫さんが立ち止まった。
「あ、あの、一ノ瀬君……!」
顔を真っ赤にしながら、白撫さんが外からでも見える位置にあるクレーンを指差した。
「あの、その、あれ……ほしい、です……」
そういえば、以前来た時もぬいぐるみを取って帰ったっけか。あいつらは今どうしてるんだろう。白撫さんは大切にしてくれているだろうか。というか、白撫さんって確実にぬいぐるみ好きだよね。
「いいよ、やってみようか」
そうして、ゲームセンターに入ろうとすると、視界にふと見たことのある姿が入った。
「あれ?翔太と相模川さん?」
「「‼︎‼︎」」
「本当ですね。2人とも、なにをしていらっしゃるんですか?」
「やー、別に、特にこれといったことはしてないけど」
「ま、まー、そうだな」
「あっ!未亜、そのくまさんのぬいぐるみを取ったのですね!今から私も挑戦するので、コツを教えていただけないでしょうか!」
「え?あ、いやぁ〜……翔太、いくらかけたっけ?」
「シ、シラネ」
「ってことなんだよね」
さては馬鹿だな?
「あ、白撫さんに言っとくと、良夜に金渡せばほぼ確実にその金額内で取ってくれるぞ」
「それは知っていますよ」
「あ、そ、そう」
なぜか堂々と言われ戸惑う翔太に、白撫さんは目を輝かせて続ける。
「でも、自分で取れたら嬉しいじゃないですかっ!」
あー、確かにそれはあるね。大いにある。
「ということで、行きましょう!」
「じゃあ、私たちはこれで」
「え?一緒にいればいいのに」
「「えぇ……?」」
「はぁ」
「え? え、え?」
最初が翔太と相模川さん、ため息が白撫さん、最後が僕だ。
「ギルティ」
「ギルティだな」
「ギルティですね」
…………ここに春原君がいたら、ノーベル平和賞くれるんだろうなぁ……
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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次回もよろしくお願いします。




