百四話 でーと!④
あれやこれやと楽しんでいると、あっという間に時間は過ぎていく。
「あ、もう2時半だ。お昼どうする?」
「小鳥遊さんとはどうしました?」
「ん?小鳥遊さんのマネージャーさんがレストランの優待券をくれたから、そこで食べたけど」
「ではそこに」
「帰ってから調べたら客単価5桁だったね」
「…………行きましょう」
「ねえ聞いてた?5桁だよ?諭吉さん1人じゃだめだよ?わかる?」
「ちなみに名前は?」
「カワサキ」
「お父様の会社のお店ですね」
「それで?」
「私の顔がクレジットです」
その横顔は、勇者だった。
「いまの録音してたよ」
「えっ!?け、消してください!」
「まあ嘘だけど」
「……人でなし」
「ごめんごめん。まあ、レストランはまた今度にしようよ。今から行っても席空いてなさそうだしさ」
「むぅ……たしかにそうですね」
よし、止まった。ここで止めておかないと、なんだか嫌なことが起きそうだったからね。というか、最近白撫さんて色々躊躇も手加減もしないよね、怖い。
「でも、それをいってしまうとどこも入れなさそうですね……」
すこし歩いてみるも、どこの飲食店も長蛇の列ができている。
「だね…………どうしようか」
他も見てみた結果、一番人の少ない『シーゼリア』というチェーン店のレストランに並ぶことにした。
「うおえぁぁぁぁぁぁぁあ!」
隣に座る翔太が、奇妙で器用な叫び声を上げる。
「あっははははは!いーひひひひひ!」
クレーンゲームの後、私たちはVRホラーゲームに興じていた。
「うおおおおお!?」
「あーっはっははは!」
なになに翔太、もしかしてホラー弱
「いうおぁぁぁぁ!?」
「ひぃ〜っはははははは!」
まってお腹痛い腹筋つる!あーおもしろ!
「あ゛ぁ、あ゛ぁ…………うおええええぁぁぁ!」
「いーっはははは、あーっひひひひ!」
なんでこいつは私を殺しにかかってくるの?ほんと、に、呼吸できな
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
「ぶぅー!あはは、ひぃー!」
ほんと、息させて!
「はぁ、はぁ……」
翔太が叫び、私が笑い殺されそうになっていると、途端にゲームが終わった。どうやら、いつのまにかゲームオーバーになっていたようだ。
「やめだやめ、もうぜってえやんねえ」
「あー、いひひ……いやあ、お化け屋敷平気だったのにねぇ?」
「うるせ。それはそれ、これはこれだ」
あー、本当に面白かった。
「つーか、あんな笑ってるとこ初めてみたわ」
「まあ、自分で笑ったからね」
「どういうことだよそれ」
「つまりそういうことだよ」
「なるほどわからん」
うん、そういうことだ。
心から笑えたのなんて、本当に久しぶりだ。




