百二話 でーと!②
「ここで見ようか」
僕らが訪れたのはこのデパート内で最も大きな服飾店。
「はい!」
ちなみに、抵抗がすごい。見てみて?キラキラしてんだ、雰囲気が。
そんな僕をつゆ知らず、白撫さんは軽やかな足取りでお店に入っていく。
「では、私はここで待っているので!」
選んでこいということなのだろう、彼女は入ってすぐの壁際で立ち止まった。
「え?僕1人で見るの?女性の服を?」
バカなの?無理だよ!
「でも、小鳥遊さんにもそうしたんですよね?」
「あ、あぁ〜……」
確かにそうだけど、あれは周りに人がいなかったからであってさ?
「では、お願いしますね」
「……はい」
なんだこの敗北感!?
僕は仕方なく移動を開始した。
さて、どんな組み合わせが一番合うんだろう。ぱっと見で選んでもいいんだろうか?全く詳しくないし。
「ん〜…………」
もう夏真っ盛りだから、涼しい方がいいかな?
「ここかな」
見つけたのは、夏に最適な服が沢山並んでいる一角。
その中から露出が激しく無く、かつ涼しそうで白撫さんに似合うであろうものを探す。何故って?周囲の目が怖いからだよ。
パッと目についたのは、マネキンが着ている白いワンピース。その次に、雑多な服の中にあった、一枚のアウター。
「これとこれ、いい感じじゃない……?」
想像すると、めちゃくちゃに似合ってる。よし、これだ!とりあえず、白撫さんに最終確認でこれでいいか聞こう。
「白撫さん」
「え、選べましたか!?」
「うん、確認してもらいたいんだけど」
「わあ……!」
実際に試着室で服を着た白撫さんはかなり気に入ったようで、満面の笑みでそれを着たまま一日を過ごすと決めたようだった。ちなみに、白のワンピースに明るい藍のアウター、すんごい似合ってた。
「うぇーざこざこー!」
「おっまえ……!」
「はい雑魚おつー!」
私たちは今、エアホッケーに興じていた。なんか沢山出てくるやつ。
「ダブルスコア!」
「ちっ!」
「あーあー舌打ちじゃダメなんだー!」
「うっせ!」
少し言いすぎたかもしれない、彼がちょっと拗ねてしまった。
「ごめんって。ほら、飲みかけのジュースあげるから」
「いや飲み欠けかよ!まあもらうけどさ」
「えっ」
そう言うと、彼はこともなげに私の手からペットボトルをひったくり、中身を口の中に流し込んだ。
か、間接キス……!
これくらいお嬢様も平然とできればいいものだが。
「おうどうした、顔赤いぞ?熱中症か?」
「へ?」
知らないうちに体温が上がっていたんだろうか。
「あ、そうかも……!ちょっとそれ返してー」
「はいよ」
唇がどうこうなんて考えながら、私もまた、ペットボトルに口をつけるのだった。




