表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/169

第一話 プロローグ

 やあみんな!僕の名前は一ノいちのせ 良夜りょうや!ただの高校一年生さ!


 なーんて、誰にいうわけでもないのに頭の中で自己紹介をする僕。これは、声に出していたら恥ずかしいなんてもんじゃないだろうな。僕のメンタルなら、1週間は自室に引きこもれる!

 それは、こいつがいなかったらだけど。


「おーっすおはよう!」


「おはよう」


 朝七時半の通学路をダッシュし、しかもこんなハイテンションで僕に話しかけてくるこいつは吾野あがの 翔太しょうた。中学一年からずっと同じクラスで、年度の最初の席は毎回こいつが前で、僕が後ろという驚異の幼馴染力で、唯一の友人だ。


「どうした良夜!テンション低いなあおい!」


 そう、翔太の言う通り、僕は今テンションがすこぶる低い。それはなぜかというと……


「なんだよ、そんなにテストが嫌いなのかー?」


 今日が一学期定期テストの日だからだ。


「いいじゃねえか楽しいじゃねえか!」


 そりゃそうだろう。翔太は、頭がいいんだから。毎回トップテンに入ってるくらいだ。


「それは、お前だけだよ。僕は違う。っていうか、人の価値は数字では表せないから。テストの結果なんて、ただの数字の羅列だ。僕を測ることなんて、到底出来っこないね」


 僕は立ち止まり、全力の演説をする。それを聞いた翔太は、「はぁ……」と、息を吐いた。


「いや、じゃあなんでこんなにレベルの高い学校に来たんだよ」


 こんなにレベルの高い学校。そう、僕や翔太の通う私立才王しりつさいおう高校は偏差値八十の学力を誇る、国内トップ中のトップの学校なのだ。


「いや、だってさ……」


 僕、友達お前しかいないんだもん。と言おうとして、やめた。絶対イジられるから。


「なんでもない、早く行こう。遅刻する」


 そう言って、僕は歩き出す。


「ばっかお前、まだ七時半なのにどうすれば遅刻できんだよ」


 翔太がそう反論して来たので、僕は再び歩みを止めて真実を話す。


「宿題見してっ!」

「知ってた」




「はぁぁぁぁああああ!!!」

「うるせえ」


 僕は今教室で、左手をフル稼働させている。この勢いなら、あと五分程で宿題は終わるだろう。頭には入ってないけど。


「ふぅううううう!!!」


 よし!ラスト一ページ!このまま……


「一ノ瀬君」


 ……終わらせようとしたところで、希望は潰えた。

 僕は手を止め、顔は上げずに返事をする。


「何ですか」


「顔を上げてこっちを見なさい」


 凛としてはっきりと筋のある、透き通った声。この声の持ち主は僕にとって有害もいいところなので、絶対に顔は上げない。理由は単純明快、僕の課題進行を大いに妨げてくれるからね。


「嫌です」


 僕は、何があっても。


「上げて、こっちを見なさい」


 絶対に!


「やです」


 この宿題を終えるまでは!


「はやく」

「いやだ」


 顔は上げ


「あ、テストの模範解答が」

「どこだっ!どこにっ!」


 僕は勢いよく顔を上げる。

 しかし、視界に入ったのは模範解答ではなく、女子生徒の顔。

 彼女は白撫しらなで まどか。サラサラしたつやのある黒髪に、透き通るような青い目。スタイルもいい。入試で一位、四月の最初のテストでも一位を取った、天才少女。体育を見る限り、運動もできるようで周りからは純情可憐だの、神童だの、女神だのと言われている。そこまで言われている彼女だが、何故だか女子からの反感を買うこともない。

 ああ、これは余談なんだけど、(?)入学後一週間で三十人以上に告白されたんだって。でも、全て断ったということで、校内で話題になってたな。

 ……って、あかん。上げてしもた。顔、上げてしもたよ。助けて、翔太。

 僕は、女子生徒の視線から逃げるように、右に座る翔太の方を向き、助けを求める。その翔太はというと。


「ふむふむ……なるほどなるほど……」


 ゲームの攻略本を読んでいた!

 どうやら、助けは期待できなさそうだ。っていうか、学校に攻略本なんて持ってくるなよ。別に校則違反ではないけど。


「ねえ、一ノ瀬君?」


 僕はストンと椅子へ座り、女子生徒の方へ視線を戻す。


「は、はい、なんでしょう」


 そのオーラは、燃え盛る炎のよう。


「これは、何でしょう?」


 その顔は、怒り狂う般若の如く。


「何を、しているのでしょう?」


 その冷たい視線は、僕の心臓を射抜く。


「すみませんでした」


 その姿を見ると、なぜだかわからないけど、無意識に土下座していた。


「よろしい」


 それだけ言うと、彼女は左前方の自分の席へと歩いていった。

 僕は、その様子を見て、スッと椅子に座りなおす。


「よっし、続きだ」

「バカだろ、お前」


 ペンを持ち直した瞬間に間髪入れず翔太にそんなことを言われたが気にしない。


「ふぅ……ふぅーーはぁぁぁぁぁ!終わったぁぁぁぁぁぁあああ!!」


 再び椅子に座ってからわずか30秒ほどで宿題を終えた僕。天才でしかない。


「ありがと、これ、返すよ」

「あいよー、午前ティー一本な」

「はいはい」


 心なしか左前方から突き刺すような視線を感じるので、逃げるように自販機へと向かった。




「ほい」


 僕は翔太の机の上に午前ティーを置いた。


「おっ、サンキュー……ってお前これ、空いてんじゃねえか」


 ん?そんなはず……


「……ああごめん、一口貰った」

「やるなお前……ま、いいや」


 なにが「やるな」なのかは分かんないけど、まあ、褒められたんだろう。


「で、テストまで後十分ほどですが、今の心境は?」


 翔太は、インタビューするように握りこぶしを僕に向ける。


「ま、控えめにいって……」


 僕は左手で顔を覆う。厨二病がよくやるやつね。


「すっげえ心配」

「そこまでカッコつけてはっきり言えるやつなかなかいねえわ、マジで清々しいまでの開き直りっぷりだな」


 そんな風に下らない話をしていたところ、チャイムが鳴って先生が入ってきた。


「それじゃ、挨拶お願いしまーす」


 うちのクラスの担任、日向 悠香。みんなからは、(主に女子から)ひなちゃんせんせーと呼ばれている。


「りーつ、れー」

「「「おはよーござまー」」」

「はーいみんなおはよー。それでは、連絡を……」


 先生が諸々の連絡事項を口にしていく。


「……これくらいかな。では、もう直ぐ時間なので机の中、横、上、全て物を片付けて、番号順の机に移動して、筆記用具だけにしてくださーい」


 クラス全員が席を移動する。僕の出席番号は二番なので、一番窓側の前から二番目だ。


「よいしょ」


 ガラガラ、と椅子を引き、座る。

 ……さて、これから戦争だ!




「では……はじめっ!」


 その声が教室に響くと同時に、シャープペンシルが躍動する音が聞こえ始める。そんな中で、僕は。


「ふわぁ〜ぁ……んよし……」


 と、眠い目をこすりながら、精一杯の力を振り絞って、回答用紙を表向きにする。そして、目を見開いた。

 科目は、数学だった!


「よっしゃ、やったるか」


 小声でそう呟き、問題用紙もまた、表向きにする。


「大問一……三平方か。えーっと……」


 そこから、大問三まで、スラスラっと解いていく。


「ふぅ……」


 ここで小休憩を挟む。そして、ふと時計を見ると、あと五分しか時間がなかった。


「やっべ」


 僕は怒涛の勢いで問題を解き進めていく。

 ––––キーンコーンカーンコーン。

 大問六を解き終えたところで、鐘がなった。


「まあ……これだけできてれば、三割はあるかな……?」


 僕は点数を予想する時、いつもこう考えている。解いた問題の点数を全て足し、そこからマイナス三十点するのだ。そうすれば、実際の点数と大体同じくらいの点数が出る。ちなみに的中率は四割。高くないね。


「どうだった?」


 前の席に座っている翔太が振り返って僕に聞いてきた。


「あー……まあ、三割くらいはあるんじゃない?」

「そうか、そりゃよかったな。あのさ、大問二のカッコいちなんだけどさ、あれの答え、三だよな?」


 と、彼は少し不安そうな目で聞いてくる。


「え、まじ!?」


 ほんとに言ってんの!?


「僕、あれの答え五になったんだけど……うわぁ、マジかー」


「はーいドンマーイ」


 翔太は煽るように手を叩きながら言う。

 なぜ僕が少しだけ落胆するのか。元々低いと予想される点数に加え、あってると思っていた問題が間違っていて、その上大問二のカッコいちは誘導問題だったからだ。

 そして、誘導問題なら誰でも解ける。その誰でも解ける問題が解けなかった。


「くっそぉ……」


 僕がドンドンと机を叩くと、翔太は、はは、と笑った。


「んな悔しがるなら勉強しとけよなー」

「ぐっ……それは言わないで」


 やめてほしいな。そこを突かれると痛いんだよ。


「てか、次の教科は大丈夫なのか?」

「次、なんだっけ」

「はぁ?お前、それくらいは覚えとけよな。次は物理だ、連続して理系だな」


 物理……数学の次に?


「いや、バカじゃん。頭使う教科の後に頭使う教科とか」


 だれだよ、このスケジュール組んだの。


「いや、お前は何の後に何が来ても同じだろ」

「うるせぇやい」

「んじゃ、俺は教科書見て復習でもしてくるわ」

「頑張れー。僕はテスト作ったやつに復讐してくる」


 翔太がロッカーまで行ったのを見て、僕は頬杖をつき、外を眺める。


「復讐だのなんだのと、あなたは勉強しなくてもいいのですか?」


 聞こえてきたのは、心に突き刺さるように凛とした声。


「……なんだよ、白撫さん。どうしようと、僕の勝手だろ」


 へへん、さっき邪魔した罰として、ちょっとだけ冷たくあしらってやるぜ。


「いえ、そうは思いません。あなた方のような下位層の学力が上がれば、学校全体のレベルがあがります。そうなると、必然的に授業のレベルも上がります。これは、私にとって大切なことなので、あなたには勉強してもらわなければなりません」


 む、なんだよこいつ。


「そうか。じゃ、まずは他をあたってくださいな」


 これで一先ひとまず時間ができるだろう。


「何を言っているのですか。あなた、前回のテストで最下位だったでしょう」


 なぜそれを知っているんだ。結果は、だれにも見せていないのに!


「べ、別にいいだろっ!僕は自分がしたいことをするんだ!」


 僕が少し大きな声でそういうと、彼女は諦めの目で僕を見ながら言った。


「そうですか。なら、勝手にしてください。()()()()、何があっても知りません」

「ああ、そうして」


 彼女は時計を見るなり、自分の席へ歩いていった。そこへ、入れ替わるように翔太が戻ってくる。


「んー?どうした、良夜。女神と喧嘩したのか?」

「しらんわ」

「テストに支障が出ないようにしとけよー」


 翔太は苦笑いしながらそう言った。


「支障が出るほどの点数なんざ元より無いわ」

「そりゃよかったな」


 そこまで話すと、チャイムが鳴って監督官の先生が教室に入ってきた。




 この才王高校では、十教科分のテストは二日間に分けて行われる。一日目に六教科、二日目に四教科。二日目は、五時間目と六時間目にテスト返しが行われる。まったく、この高校の教師は頑張りすぎじゃあなかろうか。

 そして、ちょうど今一日目の日程が終わったところだ。


「今日のテスト、全体的にどうだった?」


 僕の方を振り返って、翔太が聞いてきた。


「んー……ま、全部三十五点くらいあったらいいな、って感じかな。現実は見ない」


 僕は明後日の方向を見ながら、そう答えた。


「そうか、そしたら赤点は免れないな」

「ああ、楽しみにしといてくれ」

「流石の姿勢だな。じゃ、帰ろうぜ」


 僕と翔太は、話しながら教室を出た。

初めましての方は初めまして。そうでない方はこんにちは。村人Bでございます。


これから、新作の投稿を始めさせていただきます。二作目です。


こちらは、週に二、三話程度の更新を予定しています。最低一話という感じになりそうですが……いけるときは、四話、五話と更新したいと思っていますので、応援のほど、よろしくお願いいたします。



P.S 久しぶりに自分の小説を読み返してみようぜっ!ってなりまして、読んでるんですが、見てくださいよこの後書き!テンションが低い!

イェクスクルゥァメィショォンマァク(イクスクラメーションマーク)(ビックリマークのこと)が「ついったです」の後にしかない!


なので、爪痕を再び残していきてぇ、と!










ポイントください!ブクマして!ポイント評価して!感想書いて!レビュー描いて!

。゜ヾ(゜`ω´゜ノシ゜。)ノシ書いて書いて書いてー!













( ˙-˙ )ごめんなさい。




てことで、村人Bでした。ばいばいヾ(・ω・`)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ