SCP財団 ある研究員の手記にて~最も賢き者へ~
用語解説
SCP財団
この世にある異常な物質、存在、現象を抑え込む事を任務とし一般人が異常に対して恐怖することなく「一般的な日常」を送れるように日夜活動をしている世界的な組織。
異常現象を発見した際は速やかに「確保(Secure)」し、それらの影響が漏れないよう「収容(Contain)」した後、それらから人類もしくは異常存在を「保護(Protect)」する為それらの性質、挙動を完全理解することを目的としている。
SCP
その財団が収容している異常存在。物や人、空間から施設等、その形状は様々。
SCP財団 ある研究員の手記にて~最も賢き者へ~
研究者とは、とかく賢くありたいと思う生き物である。
しかし、賢くあろうとするあまり、愚か者にもなりえる。
今回の研究所内の騒動を見て、私はそう思わざるを得なかった。
事の始まりは、ブライトと呼ばれる博士がある事件に巻き込まれオフィスに戻ったところから始まる。
彼のオフィス机の上には、いつの間にか30センチ程の台座に座った猿の彫像が置かれており(後にSCP-50と名称)その台座の下には「最も賢き者へ」と書いてあった。
この彫像には不思議な特性がいくつかある。
一つ目は持ち主が不在の時、室内を整理整頓してくれること。
二つ目は、その際に必ず何かしらの小さな問題が起きる事(室内にあるペンの全てからインクが抜かれていた。大事な書類が全て違う言語にされていた等)
そして、三つ目。これが一番の問題である。
あるとき、ブライト博士に他の博士が軽い悪戯をした。
すると、この彫像はその博士のデスクにいつの間にか移動していたのだ。
これにより、この彫像に書かれた「最も賢き者」とは、いかに人を欺いたかということを示していることがわかった。
すると、所内では誰が「最も賢き者」か決める愚かな馬鹿し合いが始まったのだ。
詳しい内容はあまりにもくだらなすぎて割愛するが、多くの優秀な、いや、優秀だった博士が、子供じみた悪戯から、重大なSCPの収容違反まで犯し、最後には我々が収容しているSCPまでもがこの馬鹿し合いにまで参戦する事態になった。
最終的にはライト博士の元に彫像がいき、この愚かな馬鹿し合いは終焉をむかえた。
それから数日後、私は、この馬鹿し合いに参加した愚か者達に警告の意味を込めてあるウイルスのデータを送った。
なんてことはない、パソコンを開くと「最も愚かな者へ」と表示され、それぞれが起こした問題の始末書を提出するように警告する。たったそれだけだ。
悪戯でもなんでもない、ちょっとした皮肉のつもりだった。
今、私は怯えている。
私は、誰に何をされるのだろうか?
机の上に現れた猿の彫像を前に、私は頭を抱える事しかできなかった。
※SCP-50 著者AdminBright
※この作品はSCP-foundationを使用した二次創作的作品です。
"SCP_Foundation"各世界観および投稿作品の著作権はクリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0ライセンス (CC BY-SA 3.0) に基づきます。
※参考サイト ja.scp-wiki.net/scp-050