表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜吹雪が吹く頃に  作者: 赤熊火色
6/16

見てしまった悪夢

「...ふう」


 風呂に浸かるとすぐにこの声が出てしまうということは、俺はすでにおっさんなのだろうか。と思い苦笑する。

 だがそれよりも苦笑してしまうことがある。それは、加賀をうちに泊めてしまったことだ。

 いやだって年頃の女子とひとつ屋根の下って、もう漫画とかの世界だ。そもそも俺の学校男女交際禁止なのに。

 しかし今日は濃い一日だった。まさかこのタイミングであの人の妹が来るとは思っていなかった。しかも彼女とか彼氏とか言ってくるしうるさいし。あいつのことは知っていたが彼女にした覚えはない。けど今考えたら、それは俺に近寄るための口実だったのかもしれない。

 うん。きっとそうだ。

 そう自己解決して、風呂から出た。

 ...その瞬間だった。


「きゃあああああああ!?」


 ばったり加賀と鉢合わせ、パコンと額に何かが当たり、思わずそこにうずくまった。


「バカ!!何でこのタイミングで出てくるのよ!!」

「知るか!!入る時はドアノックくらいしろ!!」


 と、ギャーギャー騒ぎながら加賀は出ていった。

 騒ぎたかったのはこっちもなんだがな〜...。



 風呂も終わり、俺の就寝時間十一時となった。幸い加賀もこの時間帯に寝てるらしく、寝ると言ったら素直に応じてくれた。

 そして、


「なんで同じ布団で寝なきゃいけないんだよ!?」

「男女がひとつ屋根の下にいるんだったら一緒に寝るのがお約束でしょ!?」

「知るかそんなもん!!」


 どんなお約束だ?ダチョウ〇楽部もびっくりだ。


「だあもう!とにかく一緒に寝るのは無しだ!客人用の布団があるからそれで寝ろ!」


 それだけ言うと、俺は自室に戻った。

 こいつの彼氏になったやつ大変そうだな。



 ベッドに入り、目を閉じる。意識はすぐに落ちた。

 ...見えてきたのは悪夢だった。

 ちょうど一年前のこと。あの人が笑ってる。俺たちと話しながら笑ってる。その笑顔は眩しくて、何度か惚れそうになったのを覚えてる。その日も変わらない学校帰りだった。

 けど、その後だった。その後に悲劇が起こった。ついさっきまで話してたあの人が、ピクリとも動かない。目に光が無かった。赤い水たまりが体の下にできている。

 発狂しそうになる。が、なんとか堪える。

 その瞬間、俺の視界は真っ黒になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ