始まり、衝撃を伝える
春の季節が来た。桜の木々は花をつけ、つくしやたんぽぽなんかが顔を出し、俺はその道を自転車でゆっくり登校する...。
なんてやってる暇はなく、俺は全力疾走で自転車を漕いでいた。
時刻は午前七時五十五分。高校の始業式は八時からスタートする。絶望的だ。
まさか、頼みの綱の母上が出張でいないとは!!
あれでもなんか校舎見えてきた!ワンチャン間に合うかも!!
しかしそんな願いは届かず、無情にもチャイムが鳴ってしまった。
...最悪だ。
学校に着くや否や、教師たちの怒声が耳を劈き、疲れた体と頭を支えながら、教室へ向かった。ちなみに俺は高校三年生である。
「あ〜。着いだ〜」
「お前さー、高三になって初日から遅刻はねーだろ」
「お、上風か。おはよ」
「人の話聞いてたか?」
こいつは上風明戸。高一からの付き合いで、友達少ない俺としてはありがたい存在である。
ちなみに女っぽい名前のように聞こえるがれっきとした男である。
「あ、そうそう。俺生徒会長だからよろしく」
突然の生徒会長就任宣言に度肝を抜かれた。
「嘘!?マジかよ!?」
「マジマジ」
うそーん。チャラ男のこいつが生徒会長って。少し危ういぞ、この学校。
「あ、あと転校生来るってよ」
「ふーん」
「いやもうちょっと興味持とうや」
いやそう言われても興味が無いので困る。
しかし周りを見ると、転校生が来るというのは本当のことのようだ。
男子が騒いでいるので、おそらく女子だろう。
「可愛い子だといいな〜。可愛い子だったら即告るわ」
「お前本当にそういうとこブレないな」
...本当にこいつが生徒会長で大丈夫か?
しかし、今の上風の発言で、転校生が女子というのは確定になった。
と、そうこうしているうちに担任の教師が入って来た。
「はい、皆席ついてー。えー、今年、このクラスの担任になりました、川口です。そして知ってると思うけど、早速転校生が一人来ます」
うおーっ、と上風含む男子が歓喜の声を上げた。
いやお前ら発情期かよ。
「じゃ、入っていいぞ」
ガラッと扉が開き、女子が一人入ってきた。身長は俺よりも小さく、茶色がかった髪で、ショートヘア。いかにもボーイッシュな感じである。
そしてその子は黒板に名前を書き、くるっと回れ右をして、自己紹介をした。
「賀川千春です。見た目通り元気が取り柄です。前の学校では友達がたくさんいたので、ここでもたくさん友達を作りたいと思います。そして」
ピッと俺を指差して、
「五十嵐真君の彼女です!」
と、高らかに宣言した。
素人が書いた日常物語です。徐々に更新します。