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説話88 元魔将軍はポーション作りに取りかかる

 収穫した薬草はみんなで会社へ持って行き、今は泥を落としてから水切りをしてるところなんだ。


 それはいいけど、畑に行ったらボクの専用畑の面積が減ってるのよね。


 今までは半分以下だったけど、さき行ってみたらびっくり、なんといつの間にかさらにその半分になっちゃってるのよね。


 どういうことかな?


 まあ、今度自分専用の薬草畑を新しく耕せばいいか。うん、そうしよう。



「これは……どういうことかな?」


「はい。スルト兄さんは放っておいたら全部してしまいそうだから、薬草を煮詰めの釜に名前を書きました」


「そうなんだ……」


「スルトお兄ちゃんはせんようだよ? よかったね」

「よかったなの!」


 うーん。なんだかこの頃子供たちは自主性が芽生えてきたのか、ボクは先手を打たれたのよね。でも子供たちがポーション作りを覚えるのはきっと役立つことになるから、ボクは子供たちの言うことを受け入れるべきだね。


 でもね……


 煮詰め作業のかき混ぜは楽しいのになあ……



「このようにまんべんなくかき混ぜることが大切だよ。わかったかな?」


「はーい」


「それと十二才以下の子は離れて見てもいいけど煮詰め作業はダメだからね」


「ええー! なんでなんで!」

「なんでなの?」


 ミールは真っ先に尻尾の毛をふくらませて抗議の声をあげてきた。エリアスはまあ、ミールが声をあげたから追従しただけと思う。



「この作業は火を使うので危ないからね」


「ふぁー……」

「ふぁなの」


「ダメでしょう? ミールちゃん。エリアスちゃん。

 スルトさまはあなたたちの心配してるのよ? いい子ならちゃんと聞き分けなさいな」


 フィーリがしゃがんでからミールと同じ目の高さで彼女を諭す。目じりに涙をためたミールはコクッと小さく頷いたので、フィーリはミールの涙を手ぬぐいで拭いてあげた。



「うん……ミールはスルトお兄ちゃんのいうこときくぅ」

「きくなの」


 ボクはミールとエリアスの頭にそっと手をおいてから彼女らを褒めることにした。


 賢者のヨシトミはなんかの戦争で偉かった人が、やって、見せて、させて、最後に褒めるとか言い残したって言ってたなあ。ボクもそれはいいことだと思うんだ。


 だから、ここは二人をきちんと褒めてあげたい。



「ミールもエリアスもとってもいい子だよ」


 二人は嬉しそうにとびっきりの笑顔をボクにみせてくれたんだ。



 パペッポ村で道具屋さんは煮詰め作業の休憩のときに、釜の火を小さくしてから休むって言ってたね。


 でもね、ボクは休む気がないんだ。このまま夜通しでいっちゃうよ? だって、この作業は楽しいからね。



「……よし、二釜目はこれで終わりと」


「ねえ、まだやるのお?」


 声がする方に顔を向けてみると、そこにセクメトが地べたで寝そべってボクのことを見ている。


 うん、だってまだ日中だよ?



「昼過ぎからやり出してまだそんなに時間は過ぎていないはずだけどなあ」


「なに言ってんのよお、スルトさまの昼過ぎってのは昨日のことなのよ? ご飯も食べないから子供たちが心配してるわあ。

 一度顔を出してあげなさいよね」


「……わかった、ありがとう」


「じゃあウチ、寮に戻るからねえ」


 のそのそと起き上がってから、セクメトはのんびりした歩調であくびしながら作業室の外へ出て行く。



 えっとね、どうやらまたやっちゃたみたいだね。


 でも、これはとても楽しいことしているからしょうがないよね? テヘペロ



お疲れさまでした。

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