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説話84 元魔将軍は薬草栽培でやらかす

「みんな、いいかな?」


「はーい」


 新しい家に移り住んでから一緒に生活して、少しずつだが子供たちはボクと仲良くなっていく。



「みんなに学問を教える前に、まずはみんなでお金を稼ぐ薬草を植えていこうか」


「はーい」


 腐葉による土壌改良や土の中にある石を取り払うことは子供たちにとって大変なので、そういうのはボクがあらかじめにしておいた。


 薬草は根が付いてる一枚の葉を苗として植えるだけで勝手に生えてくるから、それを等間隔でさし込んでいくだけ。



「まずはボクが手本を見せるからよく見てね」


「はーい」


 さて、サクサクと差し込んでいくか。


 あー、サクサクサクサクサクサク――


 それ、サクサクサクサクサクサク――



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 ……よし、大体こんなものかな?


「これでわかっ……あ、あれ?」


 辺りはすでに深夜。周りにだれ一人としていない……って、あれ? どういうこと?


 周りを見ると、すでに全ての畑に薬草の苗が植えてあるのよね。


 またやっちゃったんだよボク。



「あー、おかえりい」


 居間にいるセクメトがソファーの上でだらしなく身体を伸ばして寝転がってた。



「えっと……みんなは?」


「とっくに食事と風呂を済ませてもう寝ているよ」


「……」


「ダメだよスルトさまぁ。

 子供が止めようとしたらさあ、獄炎魔法なんか使おうとしちゃってぇ。ウチがいなかったら大惨事だよお?」


「ごめんなさい……」


 かしこまったボクがソファーの上で寝そべるセクメトから説教された。



「ご飯はさあ、アールバッツがミールのカバンから食材を出して、フィーリたちが作ったのが残ってるよお? スルトさまの分だってさ。

 食べないならしまってあげなよ」


「はーい」


 食堂へ行ったボクはフィーリたちの作ったお料理を異空間に入れることにした。


 そうだね、お詫びに朝までにみんなの分の異空間のカバンをでも作っておくか。




「スルトお兄ちゃんはさくのむこうをしちゃダメ!」


 はい、ミールから禁止令が出たよ、ちょっとへっこむね。


 よく見ると柵で分けられた半分以上の畑で子供たちが生えてきた雑草を抜いてる。


 柵の向こう側、つまり半分以下の畑がボクの専用ということだね。



「スルトさまが勝手に柵を乗り越えないようにい。

 スルトさまが柵を触ったときだけ、リビングアーマーが出るように呪符を張ったから気を付けてねえ。

 あいつらが獄炎魔法に焼かれないように防御術を仕込んであるよお」


「……はい」


 セクメトがボク専用の罠を張ってくれたようだね。


 嬉しくないけどありがたい。ビングアーマーは強くないけどしつこさで知られてるんだ。



「スルトお兄ちゃん、メっだよ」

「メっなの」


 ミールとエリアスがボクに揃って叱ってくれた。これは可愛いと表現すべきだね。


 ――戦士のマスハラ見てるかい? 獣人の子供も人間の子供も確かにキュートってやつだよ。



お疲れさまでした。

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