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説話74 元魔将軍は考え込む

「それでね。ウチの夢はあ、太陽の下でくんずほぐれつ乳繰り合って揉みしだいてる楽しいことをしたいなのねえ」


「あらそうですの、それは楽しそうですわね。

 ところでその、くずばくれつちくりあってもみじたべてる楽しいことってなんですの?」


「だからね、男の人と揉む合うのお」


「あらそうですの、それならワタクシもやっておりますのよ。

 とんふぁーを持ってこうっ! 叩くんですわ」


 うーん、イザベラとセクメトは楽しそうに話しているようで全然かみ合っていないよね。



 セクメトにボクのように魔力を最小限に抑え込んでもらって、彼女もみんなと一緒にここで住むように話をつけた。


 お日様の下でのびのびと生きたい彼女はすぐに同意したよ。まあ、生きたいといっても彼女はアンデッドだから死んでるけどね。



 ワイバーンさんの首はいま、太い木の枝に刺さって、ここに住んでる子供たちが石を投げているところなんだ。


 エミリアの投げる石が届かないから、ちょっとだけ身体強化してあげて、ついでにもういない父親が作った積み木にボクは保存魔法をかけたから、そう簡単にはこわれないのだろう。千年はその形のままじゃないかな。




 子供たちが楽しそうに走り回ってる。


 ミールたちはここに住んでいる子供たちと打ち解けてたね。


 ――これこれ、ミール。きみは身体強化してあるから、ほかの子供が追い付けないので手加減くらいしてあげなさい。



 ちょっと草むらの上に寝そべり、これからのことを考える。


 人間の国であるカラオス王国を回ってみたが見るべきものはなく、旅の間はずっとがっがりしてばかりだ。


 フィーリやイザベラの話を聞くと、ワルシアス帝国というところも大差はないみたい。カラオス王国は魔王の討伐を召喚した勇者たちに任せっきりで、隣り合うワルシアス帝国とくだらない戦争ばかりしているという。


 そのためにどっちの国も国内が荒れていく一方らしい。



 それはカラオス王国を回ってるときに目で見てよくわかったんだ。


 路地裏には痩せこけた孤児や老人が虚ろ目で地べたに座てるだけ。


 あれは明日なんか見ていない、ただ今日だけ生き延びればいいという感じだった。ボクも太古の時代しか知らないけどさあ、人間ってもっと活気があって生き生きとしてたと思うんだ。



 それが今どうでしょう。


 神から託された魔王討伐の目的も忘れ、ただ勝ち目のない魔王討伐に召喚勇者を死地に向かわせ、国同士は意味のない戦争を繰り返す。


 国民は搾取されるだけの存在に成り下がり、人間の発展になんらかの関心もなく、貴族たちが娯楽を求めるために、日々送ってるようにしかボクには見えない。


 別にボクは魔族だから人間には大して興味はないだけどさあ、もっとマシな生き方もできるとは思うのよね。



 暗黒神は天地創世が終わって以来ずっと地獄に御身をおいて、女神が太古の時代に御身をお隠しになってから、神々を敬う種族は減り続けた。


 特に男神も身を隠したことが決定打となったようで、今の神堂を見に行ったのだけれど、そこにいる巫女さんが娼婦のような行為して、売春宿と変わりのないことを神堂はしていたんだ。


 こういう場合は嘆かわしいというべきなのかな? まあ、いいけどね。



 こんな人間の国々を回ることに興味は湧かない。今後はどうしようかな? もう追放されている身でいまさら魔王領に帰ってもなあ。ここにいたってすることがないのよね、そんなんじゃ退屈過ぎるよ。



 そう言えばさ、セクメトと森から帰ってきたとき、イザベラはここにいる子供たちの面倒をみたいという視線でしきりにボクへ見つめてきたのよね。


 どうもあのペットはボクに面倒なことをさせたいと思ってる節があるのようだね。これは飯抜きのけい……



 ――って待てよ? いいんじゃないかなそれ。


 よく考えたら長年の念願が叶えるチャンスをボクは得ようとしてる。ペットもたまにはいい仕事するよね。


 ――よしっ!



「ねえ、イザベラ。話があるんだけどね」


「あら、いきなりですわねスルトちゃん。話してごらんなさいな」


「ここで子供たちを育てよう」


「え?」


「とボクは思っているなんだけど、イザベラはどう思う?」


 イザベラはボクに飛びついて、強く抱きしめてきたんだ。


 どうして女の人はなにかある度に抱きつこうとするのかな? まあ、ペットも涙を流して喜んでることだし、このまま好きにさせておこうかな。



お疲れさまでした。

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