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説話72 元魔将軍は森に行く

「ワタクシ、そのワイバーンというコカトリスを倒してきますわ」


「いや、ワイバーンというコカトリスはいないからね」


 イザベラはフィーリからワイバーンは飛べる魔物と聞いて、以前に迷宮都市ラーゼンバルクの市場で聞いたコカトリスと結びつけたんだ。


 本当にペットの記憶力は適当なんだねえ、でも別に指摘しようと思わない。


 だって、ワイバーンは確かにドラゴンの一種だけど、ボクからすればコカトリスと大して変わらないよ。



 だからここはボクが行こう。


 ワイバーンはしつこい、認定したエサは逃がさない。


 この子供たちも逃がされたのじゃなくて、気が向いた時におやつとして食べに来るはず。それにね、ペットがドラゴンを見てアーレーパタンキュってされても困るし。


 まあ、そろそろセクメトは出してあげたいから、ちょっとドラゴンを叩いて来ようかな。



「イザベラ、子供たちの面倒を頼むね? ちょっとお散歩してくるよ」


「まあ、スルトちゃんったら。この子供たちが大変ですのにお散歩ですって?

 あなた、それでも人間ですの?」


 いや、ボクは魔族だから人間じゃないよ。


 それにお散歩に行くと言っても遊びに行くというわけじゃないから、そういう腹芸がわからないのかなあ。


 まあ、わからないか。イザベラだし。



「とにかく、ちょっと出かけてくるからみんなのことをよろしくね」


「どことでもお好きに行きなさいっ! そんな冷たい人は帰ってこなくてもよろしくてよ……

 お夕食までには帰って来なさいよ」


 えっとね、帰ってこなくてもいいのか? それとも帰ってきてほしいなのか? どっちかはっきりしてくれないかな。


 ボクはなにをしたらいいかわからないじゃないか。


 まっいいか、イザベラだし。




 暗黒の森林は木々の生い茂る葉っぱが太陽の光をさえぎり、今は昼間であるけど森の中は薄暗い。


 これはイザベラを連れて来なくて良かったかもね。ペットがここに来ればきっと襲われたときのことを思い出してしまうと思うから、それをトラウマって勇者たちが言ってたね。


 でもね、その言葉をイザベラには教えないよ? ペットのことだから絶対に、そんな生き物がありますのねオホホホって言うからに違いない。


 そんなキマイラみたいな生き物はいないからね。



 うん、ここら辺でいいかな? セクメトを呼んであげなくちゃいけないね。



『どれだけ待たせるんですかスルトさま!』


「ごめんね? 忘れたじゃないけど忘れていたんだ」


『それって、忘れたってことですよね?』


「そうそう。まあ、セクメトもお外に出られたよ」


 異空間から出たセクメトはボクに文句を言ってきたけど、外にいることを気付かされた彼女は、周りをウロチョロと忙しく見まわしてから、スーッとその場で泣き出した。



『スルトさまあ、ここに男がいないじゃないですかあ……

 う、ううう……ウチの、くんずほぐれつ乳繰り合って揉みしだいている楽しいことはあ……』


 そんなの、ボク知らないよ。



お疲れさまでした。

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