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説話62 クランマスターは考える

 クラン・デッドオアアライブのクランマスターはイラついてる。


 迷宮都市で最高の名誉となるダンジョンの踏破を、外から流れてきたイザベラ・ジ・エレガンスという女に攫われた上に、自分が作ったクランの名を出した所属冒険者がそいつの従者に殺された噂は迷宮都市で広まっている。



 クズはいくらでも死んでいい。


 死んだクランの所属冒険者はアホだから死んでしまえとクランマスターは吐き捨てる。だがクランの名を汚されたことは到底許すことはできない。


 迷宮都市の最大にして最強、これまでにクラン・デッドオアアライブはほかの有力なクランをダンジョン内で襲撃して壊滅させ、強い冒険者はどんな手を使ってでも殺害ないし捕獲して売り飛ばしてきた。


 そうやって今日の地位を築き上げた。



 ダンジョン踏破者であるイザベラ・ジ・エレガンスはとても強い。


 強くてエロい。でもただのバカだと様子を見に行った冒険者から報告は聞いてる。そこでクランマスターは考えた。


 どんな手を使ってもその女を罠に嵌めて、散々犯した上で持っているものを全て奪い尽くしてやると心に決めた。



「マスター、地下で侵入したもんがいましたぜ」


「っち。なにしてんだよお前ら。わかった、見に行く」


 地下の牢獄についたクランマスターはさらにイラつく。


 殺せと命じたはずの獣人のガキどもがまだ生きていたからだ。何をしてやがるんだこのバカどもは。言われたことすらできないかと彼は手下に怒鳴りつけたかったが、まずは倒れてる獣人の子供に前に立つ、ニコニコ顔の子供に問い質すことにした。



「スルトだと? ああ、だれだこいつは」


「マスター、あの女の従者ですぜ。

 噂からするとこいつがムスガらを殺したらしいですぜ」


「しかもマスター。こいつは先、極大回復の魔法を使って獣人のガキどもを死にかけの状態から回復させましたよ」



 クランマスターは部下からの話で考える。


 極大回復の魔法の使い手なんてほぼいない、いてもそれは国が半ば強引に引き立てるからだ。


 ここでクランマスターはその狡くて賢くて、今まで色んな対抗勢力のクランを潰して、人を殺しまわった頭を閃かせた。



「こいつを捉えろ、それでイザベラとかいう女に使いを出せ。従者を助けてほしいならここに来いとな。

 それとな、今度こそ獣人のガキどもを殺せ。死体はダンジョンに放り込んで来い」


 クランマスターの命令を受けた二人の屈強な冒険者はすぐにスルトという子供を捕まえるために近付いていく。


 あのガキは動かない、どうせビビッてるだろうとクランマスターは思った。ガキなんてそんなもんだ。



 子供の近くまで行った冒険者二人がいきなり消えた。


 いや、消えたのではなくて両手をあげた子供によって、血飛沫となって肉の破片すら残らず粉砕された。



 なにが起こったかがわからず、ここにいるクラン・デッドオアアライブの冒険者たちは目の前に起こった出来事にあぜんとして立ち尽くしていた。



お疲れさまでした。

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