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説話37 元悪役令嬢は冒険者ギルドに行く

 迷宮都市の冒険者ギルドは大きかった。


 実はさきに迷宮へ寄ってきたのだが、中へ入るには冒険者カードが必要と言われたので、仕方なくイザベラと冒険者カードを作るために冒険者ギルドへ行くことにした。道を行くときにみんながイザベラを見てくるものだから、飼い主としては鼻が高いね。


 女性たちの軽蔑した視線はなぜかなと思ったけど、そんなのどうでもいいのよね。




 迷宮、その名をダンジョンと呼ぶ。人間や一般の魔族は知らないでしょうが、これを作り上げたのは暗黒神だよ。魔王様やボクら魔将三人衆は霊魂吸収の洞と陰で呼んでるけどね。



 迷宮に現れるのは疑似生命体、魔力によってつくられた魔物。


 だからボクはそれをダンジョンモンスターと位置付けてる。だってえ、生命体じゃないですもの。ダンジョンモンスター倒すと疑似した魔物の素材と魔石が残され、ダンジョンモンスターはそのまま消え去るだけ。


 暗黒神だって御慈悲はある。


 探索する者が欲張って自分の力量を越える無茶しない限り、命を落とすことはないのさ。でも自分の力を越えて欲深く下層まで行くと、待っているのは強力な魔物という名の死のみだよね。


 暗黒神はそれを待っているというわけさ。



 例外としてたまに迷宮で現れる生命体もある、それがダンジョンボスというわけだ。


 生命体のダンジョンボスは魔王領で罪を犯したもので、その罪に合わせてダンジョンに閉じ込める時間が決まる。挑戦するものに倒されるのもまたダンジョンボスの運命。だから死なないようにダンジョンボスも死力を尽くして戦うというもんだよ。



 暗黒神の部下がダンジョンボスを務める場合もある。その場合はダンジョンの難易度が極端に高くなるのよね。そりゃ、暗黒神直属の部下が待ち構えているだもの、強くて当たり前なんだよね。




 受付まですごい行列になっていた。ここの冒険者ギルドは繁盛してるね、パペッポ村出張所とは全然違うよ。取り急ぎでもないのでここはみんなと同じように並ぼうかな。


 それはそうとこの取り囲んでくる人たちは誰でしょうか。


 先から受付の順番を待つボクとイザベラの横にきて、しきりにイザベラを勧誘しているけどダメだよ、人のペットを攫っちゃ。まあ、イザベラが行くというのなら喜んで送り出すけどね。


 ペットを飼うのは面倒くさいから。




「お嬢ちゃん、俺達のパーティに入らないか? 初心者なら親切丁寧に教えるぞ」


「お前なんだその恰好は! あたいらのクランに入りな、みっちり仕込んでやるからな」


「そこいく美しいお嬢様。さあ、僕と一緒に楽しい冒険をしよう。素敵な思い出を二人で作ろうじゃないか、このバラと共に」


「綺麗な女だな。どうだ、俺のところで働かんか。売れっ子の売り子がいないんだよな、俺の酒場にはよ」



 うーん、最後のはなんか冒険者とはなんも関係ないけど。さて、イザベラがどう出るかが楽しみだね。




「お黙りなさいっ! ワタクシは誰とも行きません。いいですこと? ワタクシにはスルトちゃんを養うという立派な使命がありますのよ。ですからどなたにもついて行くことはありませんわ!」



 うん、違うね。イザベラを養っているのはボクのはず。それがイザベラにはボクを養っていることになっているんだね。


 これはいけない。


 明日からちゃんとシツケしてやらないと、勘違いしたペットは後始末が悪いだってヨシタニも言ってたなあ。よしっ、しばらくご飯抜きだね。


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