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説話36 元悪役令嬢はビキニアーマーを着る

 退屈、つまんない、することがない。


 宿のお兄さんは金塊のオークションで得たお金を持ってきてくれた。なんでも白金貨100枚で競り落とされたらしいが、そんなのどうでもいいことだよね。1割である10枚の白金貨は宿の手数料。ここに泊まってすでに10日は過ぎてるので、いまは手元に80枚の白金貨を持っているが、使い道はありません。



 ボクは食事を取らないし、イザベラはボクが出すものしか食べないし、毎日届けてくる食事は異空間の中に放り込んだ。一応ね、偽装しないと怪しまれることは勇者の意見じゃなくても、ボクが人間の国にきてから学んだことなんだ。




「というわけで迷宮探索に行こう」


「え? どういうわけですの?」



 イザベラはベッドの上でころころと寝っ転がって、びっくりした顔でボクのことをみている。


 勇者のヨシタニは言ってたなあ。ペットは運動をさせてあげないとブクブク太っちゃって、病気にかかりやすいだって。ペットを飼育するのって、面倒なんだよねえ。でも一度飼ったら捨てない、それもヨシタニの教え。だからボクはこの()()()()()()()()()を迷宮へ連れて行って、運動させようと思ったんだ。



「寝てばかりじゃ体に悪いから迷宮の魔物を倒しに行こう」


「ワタクシ、元とはいうですけどこれでも深窓の令嬢ですのよ。そんな野蛮なことなんてできませんわ」



 イザベラは枕を頭に被って、ボクの言うことを拒絶している。


 ヨシタニは言ってたなあ、ペットが飼い主のことを反抗すると人に噛み付いたりして、なんとか所という怖いところに連れて行かれて虐殺されているらしい。イザベラが殺されないためにも、ボクはしっかりと彼女の健康管理する必要性があるんだよね。



「デブ……」


「グハっ!」



 言葉の一撃がイザベラに突き刺さったね。彼女はがバッとベッドから起き上がると、ものすごい怒った顔でボクのことを睨みつけている。



「いくらスルトちゃんでもレディに吐いてはいけないお言葉というのはありますのよ? さあ、取り消しなさい、このワタクシがデブだってことを」


「お腹を揺らしてみてよ、今すぐに」



 ブルンブルンブルンブルン



「……」


 イザベラもボクも無言になっている。音が鳴らすのはイザベラのお腹の周りにある脂肪だけ。すごいねえ、どうやったらあんなに鈍そうな音が立つのでしょうねえ。



「さあ、迷宮へ参りますわよ。遅れないでちゃんと付いてらっしゃい、スルトちゃん」


「これに着替えてよ」



 イザベラに渡したのはボクが昔に趣味で作った装備(おもちゃ)、イザベラの体型に合わせて手直ししてあるんだ。元のデザインを教えてくれたのはエッチということが大好きな賢者タキ。なんでもこれがビキニアーマーという史上最高の女性専用防具であるらしいよ。



 露出が高いからボクは魔力を込めた透明の魔装防御を施してる。人間が使う程度の最大魔法なら平気で跳ね返すし、アダマンタイト程度の武器なら斬り込むことができないし、普通のドラゴンブレスでも通らないと思うよ。


 史上最高の女性専用防具というのなら、最低このくらいは必要と思って創ったのさ。


 まあ、もっとも魔王様やボクら魔将三人衆を含め、魔王軍最高幹部たちにとっては紙装甲も同然だけどね。



「スルトちゃん、これちょっといかがわしくないかしら? この服は生地が少ないですのよ」


「なんで? イザベラならとってもお似合いと思ったから出したのになあ」



 イザベラは裸体のまま、ボクが渡したビキニアーマーを見ている。


 え? 女性の着替えになんで部屋にいるかって? するとなにか、きみたちは犬猫に装飾用の服を着せる時に部屋を出ていくんだ? へえ、知らなかったなあ。着れないときはどうするのさ。ご主人様ならちゃんと面倒を見てやらないとダメじゃないか。



「あらそうですの? 本当にワタクシにお似合いですの?」


「ああ、まさにイザベラのための一着だよ」


「まあ、スルトちゃんは本当に真実のことしか言わないですのね。わかりましたわ、これはワタクシ専用の装備に致しますわ」


「よかったね」



 本当にね、ヨシタニはペットの達人だよ。ペットは褒めるということを聞くのは間違いではなかったんだね。



お疲れさまでした。

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