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説話163 勇者たちは帰って来る

 アールバッツたちがカラオス王国とワルシアス帝国の出兵状況を確認するため、最後まで敵地にとどまって、二つの国合わせて50万の軍勢がこっちに向かってることを確かめてから、村に戻ってきたんだ。



「スルト兄さん。お久しぶりです」


 子供が青年になった。


 凛々しい顔も、みなぎる自信も、ゆるぎない決意も、アールバッツは本当に大勇者になった。


 大勇者というのは勇者たちがアールバッツのことをそう呼んでるから、すごくしっくりと来るのでボクもそれでいいと思ったんだ。


 魔王様と真っ向から相対するのは彼だからね。



「外で色々見てきてどうかな?」


「はい。魔王は倒さないといけないでしょうが、人々を救うこともそれと同じくらいに大事と思いました」


 しっかりと自分の思いを語って来る大勇者に、ボクは本当に子供たちを勇者として育ててよかったと思う。



「村中が戦支度で大騒ぎですね」


「そうだね、どこまでやれるかはわからないけどね。

 でもやる気があるのはいいことだよ」


 アールバッツはボクの言葉に頷いた。



「きみたちにはカラオス王国とワルシアス帝国の軍隊が来るまで、やってほしいことがあるんだ」


「なんでしょうか?」


「対魔王戦で使う必殺技の特訓さ。

 担当するのはメリルとガルスだよ。メリルが作る異空間で思う存分にやってくるがいいよ。

 ガルスが教えてくれるさ」


「はい」


 疑うこともなくアールバッツはボクの言いつけを受け入れた。実戦が済んでいる勇者たちなら、そんなに時間はかからないのだろう。


 今夜は最後に帰ってきたアールバッツたちの帰宅を祝うため、もう一度盛大な宴会を開くようにマーガレットに言わなくちゃね。




「すべては神々のご恩愛なのです!

 さあ、みなさまもわたしと一緒にお祈りを捧げましょう!」


「そうですギャ、お祈りしましょうギャ」


 エリアスとレイミーの双聖女は相変わらず神々が好き好きだね。男神にお祈りじゃなくて唾でも吐けばいいからね。



「スルト兄さん」


「お? どうしたかな。ちゃんと食べてる?

 マーガレットとメリルが食材をこだわった料理ばかりだよ」


「はい、懐かしくていっぱい食べました」


「そう、それはよかったね」


 アールバッツがいつになくまじめな顔をするので、たぶんなにか重要な話があるだろうとボクは彼の話に耳を傾ける。



「カラオス王国とワルシアス帝国は、国の騎士団と貴族連合を合わせてそれぞれが5万ずつです。

 そのほかは全て徴兵された兵士です」


「ふーん。で? アールバッツはどうしたいの?」


「騎士団はれっきとした軍隊ですからこれは撃滅してもいいと思いますが、徴兵された兵士のほとんどが平民ですからできればこれは撃ちたくないと考えてます」


「うん、わかった。大勇者の意見は尊重しないとね」


「からかわないでください」


「そういうつもりじゃないけどね。

 ボクに任せて? ちゃんと手は打つよ」


 アールバッツはボクに一礼をしてくる。


 ボクからすれば敵対してくる勢力は降伏か死かのどっちだけどね、これからアールバッツたちが歩んでいく厳しい道のことを考えると、彼がしたいと思うことをボクは尊重してあげたいね。



 そうなると策を立てるのに適任者はボクともう一人だね。


 ボクについて来てもらうのはセクメトだよ。



お疲れさまでした。

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