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説話162 村長は演説する

「皆様、ごきげんよう。ワタクシは村長のイザベラですわ。

 今日は皆様にお話がありますの」


 村の広場でイザベラが人々を集めて演説しようと村の広場に立つ。


 ボクはマーガレットからカラオス王国とワルシアス帝国がここへ出兵を決定した知らせを聞いて、それをイザベラに伝えた。


 彼女から増え続けている村人に話すようにお願いしたのさ。



 ついに勇者養育計画は最終段階に来たんだ。


 ここが国から攻め込まれるを聞いた子供たちはきっと戻って来る。だって、ここがあの子たちの故郷だからね。



「今、カラオス王国とワルシアス帝国は軍隊をここへさし向けようとしてますわ。いつものようにまた民から何かを奪おうとしていますの。

 ワタクシことイザベラはここで皆様に告白いたします。

 ワタクシはカラオス王国から大罪人と指名されたメリカルス元伯爵家のたった一人の生き残りですわ。

 まあ、姉上様はワルシアス帝国に嫁いでますけどね、姉上様はいい人ですから助けてあげたいですわね」


「……」


「それはさておき、異界より来たる勇者様のことは皆様もご存知かと思いますが、ワタクシことイザベラ・ゼ・メリカルスはそのことで皆様に真実を知っておいてほしいですわ」


「……」


 うーん、すごい人数だがみんなが黙り込んでるね。


 レイヤルドはなぜか厳しい顔しているけど、どうしたのかな。



「魔王を倒すのは古来より異界から来る勇者様の責務と言われていることは皆様がご存じのはずですわ。

 しかし、カラオス王国はその気がなく、異界から来たる勇者様を魔王の所へ送り込んで、何日で死ぬかという残虐極まりない賭け事してきましたのよ。

 ワタクシの一族はその賭けに負けて、ワタクシ以外は国からさし向けられた追手によって、ワタクシ以外の家族はみな殺されてしまいましたの。

 それが魔王討伐と異界から来る勇者様の真実です。

 それと姉上様のことは気にしないでくださいまし」


「なんだそれ、魔王を倒す気はないのかよ」

「おいおいうそだろ? 魔王を討伐するから魔王税が課せられているじゃないか」

「聞いてねえぞそれ!」


 俄かに人々がざわめき出したね。



「よろしいかしら? カラオス王国は皆様を守る気はありません。皆様から奪うことしかいたしません。

 それは善良にして可憐なな元悪役令嬢だったワタクシが一番知ってますの。

 いま国中の貴族や騎士団が宿敵であるはずのワルシアス帝国と手を組んで、国から奪われ続けてようやくここで幸せを築こうとする皆様から寄ってたかって、また全てを奪おうとしているのですわ」


「畜生があ……」

「クソどもめ!」

「おれたちはどこに行けばいいのか……」


 お? イザベラが両手を広げたね。どうしたんだろう。



「さあっ! 皆様。ワタクシとともに明日への道をゆきましょう。

 間もなくあなたたちを助けた勇者様たちがここに戻ってまいりますの。ワタクシが先頭に立ち、勇者様たちと一緒に道を切り開いて見せますわ。

 その間に皆様はどうなされますか?

 今までのように黙って奪われ続けますか?

 それともワタクシと一緒に明日という日を自分の手で掴み取りますか?

 さあっ、決断なさいっ!

 家族を守るために剣を手に持ち立ち上がりますか?

 それともなにもかも奪われて家族と一緒に惨たらしく死んでいくのでしょうか?

 さあっ! ワタクシにお答えなさい!」


「「うおーっ!」」

「「イザベラさまああっ!」」


「皆様、ワタクシと一緒にカラオス王国とワルシアス帝国を倒しましょう!

 勇者様の導きでワタクシたちは誰からも幸せを奪われない国を作りましょう。

 誰のでもなく、勇気を持って自分たちの手で全ての種族が平和に生きていけるイザベラ共和国を作り上げましょう!」


「イザベラさまああっ!」


 さてと……ここはもう、イザベラに任せても大丈夫だね。


 ボクは最終段階に入るための準備をしなくちゃ。



 それにあの子たちが無事に帰って来るんだ。


 マーガレットに言ってみんなを迎えるための祝宴の準備をしなくちゃね。



お疲れさまでした。

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