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説話151 貴族は元魔将軍と話す

 見たこともない建物の応接室という場所にいるアルフォンス男爵はただ驚いていた。


 応接室内の煌びやかな装飾品の品々に目を奪われてたが、それよりも飲んだこともない美味しいお茶やこれまた食べたことのないお菓子に味覚を堪能させてもらった。



「いやあ、スルト殿は良い品をお持ちですな。羨ましい限りです」


「そう、お代わりはたくさんあるからね」


 アルフォンス男爵はスルトのほうへ自嘲しているような苦笑を見せる。



「もっとも良いと思ったのはここの村でのびのびと住まわれている村人たちですな。

 私のことを警戒していたようですが、それは仕方がないです。

 我々貴族はそれだけのことをして来たですからな」


「ふーん。自覚があるならそれだけ大したもんだと思うけどね」


「この度はガルス殿という剣士に助けてもらって、本当にありがとうございました。

 その上に不躾にも従者のクラウディウスがガルス殿にお手合わせしてもらう御無礼を許してほしい」


「いいよ、別に。ガルスは死闘であろうと試合であろうと挑戦してきた者に応えるのが彼の信条だからね。

 アルフォンスが気にすることはないよ」


 二人が対話するところへイザベラが応接室に入ってきた。イザベラを見たアルフォンス男爵は目を大きく見開く。



「そなた……イザベラ・ゼ・メリ――」


「あら、ごきげんよう。

 どなたかは存じませんが、ワタクシはイザベラ・オブ・エンジ――」


「イザベラ・ジ・エレガンスね」


 アルフォンス男爵が本名を言い、イザベラが間違った偽名を言いかけたところをスルトがそれを是正してみせた。



「オホホホ、そうでしたわね。

 ワタクシが迷宮都市ラーゼンバルクの迷宮を踏破しました冒険者のイザベラ・ジ・エレガンスですわよ。

 オホホホ」


「……そう、ですか……そうだな……これは失礼を。

 イザベラ様が私の知り合いであるメリカルス伯爵のご令嬢であられるイザベラ・ゼ・メリカルス様に似てましたからびっくりしましたが、あのお方はもうこの世におられません」


「そうですわよ。アルフォンス男爵様の知り合いであられた美しく聡明で気品のあるイザベラ・ゼ・メリカルス嬢はすでにおりませんわ。

 でもご心配なさらずとも、美しく聡明で気品さはすべてこのワタクシがそのまま受け継いでおりますからね。

 オホホホ」


「ははは、イザベラ・ジ・エレガンス嬢がお美しく元気なお方で安心致しました。

 これは良き日に良き人と出会えましたな」


 スルトは二人を見守りながら、足音を立てずに入ってきたマーガレットに何かを指示してから、アルフォンス男爵に声をかける。



「良ければ食事を取ってはどうかな?

 従者の分も用意させてもらったんだ」


「これはかたじけない。

 お命を救ってもらった上で色々と美味なるものまでご用意してもらえて、本当にありがたい」


 畏まるアルフォンス男爵へスルトは片手を上げて、礼をしようとする男爵の動作を止めた。



「それは別にいいよ。ただ確認しておきたいことがあるのよね。

 きみの後を付けて、こっちの村の様子を覗き見してから逃げた人たちをきみはどうしたいのかな?」


「は? ……はっ!」


 アルフォンス男爵はスルトの言葉で気が付く。


 暗殺が成功したかどうかを確認するために派遣された者が彼を監視していた。



お疲れさまでした。

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