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説話14 元魔将軍は暇なので独り呟きする

 スルトだよ、今は魔王軍を追放されてすることがない。


 なぜ魔王様がボクを追放したって? それはねえ、憶測でしかないけど魔王様はボクに自由をプレゼントしてくれたんだ。それにね、魔王軍が強大になった最大の理由は規律が厳しいこと、これはボクとガルスにメリルが頑張ったことなんだ。


 ほら、規律正しい軍隊は強いって勇者のヨシムラも言ってたことだし。


 え? ヨシムラは誰かって? 召喚勇者だよ。でもね、説明するのは面倒だからもういいよね。




 今まで魔王軍を抜けたい魔族は一人としていない。


 三食寝床付きで勤務時間は九時出勤で十二時から午後二時までがお昼寝休み、特に用事がなければ五時には退勤していいんだよ。残業は許可がなければ基本的に不可なんだ。演習とかになれば時間分だけ手当ても出るし、地方とかへ出張ともなれば出張の日数で休日も与えられるんだよ。特にすることがない魔族はね、魔王軍に所属さえすれば暇が潰せて生活も保障されるんだよ。


 だから実はね、ボクが魔王軍では初めての退職者だよ? いえーい。



 そのためにね、みんなもボクの退職をどう受け止めればいいかわからないと思う。それで魔王様はボクを追放することによって、みんなのいさしめとしたのね。



 やめたいならそのくらいの覚悟を決めろってね。



 え? なんで語り口調になっているかって? だって、暇だから自分に語っているのさ。今のボクは自由なんだ、魔王軍の規律にも縛られないね。え? 人間の国にも規律はあるって? 嫌だな、冗談うまいよね。なあに、きみは犬猫の規律に縛られたいの? ボクは嫌だよ。犬猫のことなんてどうでもいいんだね。


 噛み付いて来たらシツケする。シツケられないのなら殺しちゃう。それだけのこと。



 え? 人間は犬猫じゃないって? バカだねえ、ボクから見れば犬猫も人間も一緒なんだ。多少は犬猫より長生きするけど、結局は短い命なんだよね。ん? 人間は言葉しゃべれて知恵もあるって? 犬だってワンワン言うし、猫もニャーニャーって話すよね。それに犬猫だって知恵くらいはあるよ。


 なになに、人間にはより多い知恵があるって? それはあ、人間から犬猫を見た場合でしょう。


 ボクらからすれば、人間の知恵は犬猫のそれと一緒、大差はないよ。



 でもね、ずっと魔王様たちと暮らしてきたから人間のことはよくわかんないよねえ。


 勇者たちは色んなことを教えてくれた、自分の世界の知識とかこの世界のこととか、おかげさまで見たことはないけど知識だけはあるんだよねこれが。だから、これから人間の所へ行って、色々と見てくるつもり。


 賢者のアツダは言ってたなあ、万巻の書を読み千里の道を行くとかなんとか。あいつは賢かったなあ、色々と知らない知識を教えてくれたよ。


 まあ、刺しちゃったけどね。



 そんなわけで知っていることを検証するためにボクは人間の所へ行く。行って、色々と確かめてくるんだ。確かめてからボクがしなくちゃいけないことがある。


 え? それはなにかって? 言えないよそんなことは、ボクだけの秘密さ。それにまだできるかどうかもわかんないし。



 そんなわけで色々考えると楽しくなってきちゃったね。


 久しぶりに愉しみに思えてきたから、行こうか。



お疲れさまでした。

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