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説話129 元同僚女はいきなりやって来る

 暗黒の森林の魔族たちがアラクネのアリシア族長の許で団結して、急速にその勢力を拡大させていく。


 もちろん、中にはそれを良しとしない魔族もいて、アリシアたちに敵意を露わにしたというわけさ。ボクはアリシアに乞われて、防衛力として彼らに巡邏隊という組織を作り上げたよ。



 彼らが使う装備一式は森の遊園ち――森のダンジョンから取ってきたものを使用してる。


 まずはオーガさんたちとオークさんたちが初代の森林巡邏隊の構成員となったんだ。彼らには訓練の仕方と隊形の組み方をマニュアルにして渡した。


 ボクとしても暗黒の森林は日々が平和であってほしいね。




 子供たちと毎日がのびやかで平穏が続くように思ってたけど、それが終わるのは一瞬でいいのよね。


 人間の国に来て、これまでにない強烈なほどの魔力を感じたボクは子供たちが驚く中、最高速で暗黒の森林へ駆けて行ったんだ。



 暗黒の森林の前で、森林巡邏隊のオーガさんたちとオークさんたちは完全な武装でその傾国の美女と言われてる女性と対峙している。


 オーガさんたちとオークさんたちはガクブルしながらも健気に武器だけは女性に向けてた。


 もっともどの魔族も糞尿を垂れ流してるけどね。



 オーガさんたちとオークさんたちはマニュアル通りで頑張ってくれてるけど、彼女に敵うことは絶対にないよ。


 だって、彼女は魔将三人衆の一人、疾風迅雷の魔光将ナシアース・メリルだもの。


 オーガやオークがどう足掻いても勝てるはずがない相手だよ。



 だから、ボクが前に出ることにしたの。



「やあメリル、久しぶりだね。なんでここにきみがいるのかな?」


 これがボクの最大の疑問。


 魔王領の見回りを主な任務としている彼女は常に魔王領を部下を率いて巡回しているはず。こんなところで現れるはずがないからね。



「来ちゃったあ」


「来ちゃったじゃないよね? ボクが聞いているのはなぜきみがここにいることだよ」


 クネクネと身体をひねらせているメリルに、ボクはあるはずもない頭痛を感じてしまったんだ。フシギだね。



「あたし、魔王軍を追放されちゃったの」


「ええっ? なんで? なんで魔王軍最大の貢献者であるきみが追放されるわけ?」


 先より増して、ナシアース・メリルは(たお)やかな雰囲気で忙しくクネクネと身体を揺すりながら、ボクの質問に答えてくれた。


 頭はいたくないけど頭がいたいよ。これどうしようか。



「あたしね、魔王様にスルトに逢いたいって言ったの。

 そうしたらね、魔王様が言うのね。プププッ、そなたも追放だ追放、いますぐ行きなさいって。とても嬉しそうに魔王軍から追い出してくれたのね」


「はあああああ……」


 魔王様(あのひと)ならやりそうだよ。


 あの人は昔からボクを困らすことが大好きだったんだ。ナシアース・メリルがボクの居場所を探し当てることは別に難しいことなんかじゃないよ。ボクたち魔将三人衆は相手の気配なんて、それこそ自分のことのようにわかり合えるのさ。


 ずっと一緒にいたからね。


 でも、これどうしよう。


 ナシアース・メリルはボクのことになるとすっごく面倒くさいやつになるのよね。



 その前にだね。森林巡邏隊のオーガさんたちとオークさんたちを森に帰してあげよう。


 涙を堪えているオーガさんたちとオークさんなんて、似合わなすぎて可哀そうだよ。



「ねえ、きみたち。ここはボクに任せていいからね? もう森に帰りなさい。」


「はい……」


 哀愁を背中に漂わせながら、森林巡邏隊のみんなは手に持つ武器を地べたに引きずらせて、暗黒の森林の中へ帰っていく。



「それで、楽しく追放されたメリルは今後についてどう考えているの?」


「意地悪をいう子はお仕置きよ?

 そんなの決まってるんじゃない。なんの職もないあたしはスルトに養ってもらうの」



 だーかーらーっ! 一々抱きつくんじゃないよ!


 それと、会う度に頬でぼくの頬になすりつけてくるなっ! これだからメリルは面倒くさいよお。



お疲れさまでした。

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