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説話122 元魔将軍は元侍女から逃げる

 子供たちが勇教園に通うようになってから、毎日が慌ただしくなった。


 当面の間は午前中だけの授業にして、午後からは狩猟や畑仕事などの日課を行う。


 6時:起床

 6時半:朝食

 7時半:登園

 8時:一限目

 9時:二限目

 10時:三限目

 11時:下園・昼食の準備

 12時:昼食

 13時:昼休み

 15時:日課

 17時:帰寮・夕食の準備

 18時:夕食

 19時:風呂

 20時:自由時間

 21時:就寝


 ――とまあ、大体こういう一日を過ごすということかな?


 子供たちは45分の授業を受けてから15分の休憩で、勉強してもそんな疲れることがないとアールバッツたちは言ってくれたんだ。



 時間の長さについてはね、勇者たちが自分の世界と変わらないって言ってたよ。


 でも、そんなのどうでもいいよね? だって、太古の時代から生きてるボクにとって、一日とか一年とか意味なんてないさ。なにそれ、美味しいのって感じだね。


 ただ、子供たちの生活リズムを築くのに時間を数値でスケジュールってやつを立てると便利なだけ。



 日々の中でもマーガレットは多忙を極まる。


 朝から夜まで子供たちにかかりっきりで、調理に授業、お風呂入れに寝かしつけ、そんな彼女に子供たちもよく懐いてる。



 イザベラは子供たちにとってはお姉さんみたいなもの。


 ミールとエリアスなんかは、デューさんたちやリビングアーマーたちと遊んでいなければ、だいたいは彼女の傍でうろついてるね。



 ゴブリンのレイミーやエルネストなどの大人しい子はセクメトがいる居間のほうで、彼女と一緒にラノベを見たり、セクメトから魔法のことを聞いたりしてる。


 暗黒魔法以外でもセクメトは魔法使いとしては超一流。彼女は回復系の魔法が使えないだけで、そのほかの魔法なら大抵は使えるんだよね。


 まあ、ボクには及ばないけどね。



 なんだかんだでアダムスも、今では寮に住んでることが多いんだ。


 神堂のことは彼に任せてあるのよね。聖女候補のフィーリや賢者候補のアグネーゼたちはアダムスから神の教えを教わり、日々欠かさず神々へのお祈りを捧げているんだ。


 勿論、神の御力である聖気を身体に宿らせるため、アールバッツたち勇者候補も朝と夜の礼拝を神堂で行っているのさ。



 そんなわけで、子供たちを勇者に育てるための計画は順調に進んでいるように見える。


 だがね、これだけではボクからすれば足りないのよねえ。



 確かにマーガレットは高性能で何でもできるだけど、言い換えれば彼女は突出した能力がないんだ。


 そのために、ここ数年はマーガレットだけでも、十分に剣技などの戦闘術を子供に教えることはできる。だけどね、その先にある極めた技が必要なんだ。それはマーガレットではできないことなのさ。



 ――まっ、いいか。ない袖は振れない、その時になったら考えようね。




 近頃は勇教園のことで忙しかったので、薬草の雑草取りしかしていない。


 なんだかね、体がポーション作りを欲しがってウズウズするのよね。エリックたちを待つつもりだったのだけど、待ちきれずに倉庫をさらに四棟ほど建てちゃったんだ。てへ



 さあ、薬草の収穫と苗植えを同時にやっちゃうよ!



 あー、ヌキサクヌキサクヌキサク――


 それ、ヌキサクヌキサクヌキサク――



 今日はね、お昼寝してないの。


 午後3時からの作業でまだ1時間半はあるんだよね。もうちょっとだけ作業しようかな? もちろん、それは薬草のすり潰しさ。



 あー、ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ――


 それ、ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ――



「スルト様っ!お夕食の時間ですけど、気が済みましたか!」


「……ごめんね、いま終わるから」


 マーガレット(アラーム)が来たので作業はおわり。ちぇ、これからする薬草の煮詰め作業が一番面白いなのに。


 でも、子供たちが待ってくれているから帰るか。



「せっかくあたくしがお昼寝の時にずっとお布団の中で待っておりましたのに」


「じゃあご飯をたべに戻ろうか」


 ちゃんと知ってたよ、マーガレット。だからボクも会社に逃げて来たんだ。



お疲れさまでした。

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