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説話111 元魔将軍は天使と対話する

「はっはっは、誰かと思えばスルト君じゃないか」


「ボクが入ってきた時から知っているのよね」


 真っ白な翼を生やしている中年のおじさんみたいなのがルシェファーレ。


 男神と女神にお仕えする天界の天使たちの中でも上位十名は入る強さを誇る天界の一角。


 そんな強い天使がなぜ堕落の天使と呼ばれたのは実にくだらない理由があるんだ。



 その昔に男神は時々天界を抜けて地上へ降り立って人間の住む所に遊びに行ったんだ。


 女神様は使いを出して男神を呼びに行くのだがそれがこいつ、ルシェファーレ。幾度も行くうちに人間の社会を気に入ったこいつはそのまま地上に居ついちゃって、天界へ戻らなくなっていたのよね。



 男神がバカならこいつはアホ。


 天界を代表するノウタリンコンビなんだよね。ただこいつの場合は男神よりマシの所は人間にしろ魔族にしろ、地上の出来事に一切関与しないんだ。



 お気楽な性格のためにボクもこいつとは仲良くしてもらってるのさ。


 最後に会ったのが転移勇者のことが気になったのか、ボクに会いに滅びの城まで来たんだ。ボクが事情を説明するとボクの肩を叩いて労ってくれたよ。



 異世界のことで興味を持ったこいつに、魔王軍で大流行中のラノベを渡したら一発で釣れた。ボクからありったけのラノベをせしめると、そのままどこかへ遁走してしまった。


 それがまさかここで再会するとはボクも思わなかったよね。



 ルシェファーレがここのダンジョンボスであることが確定できたのは、異世界のものが多く再現されていたからさ。こんなことができるのはボクから色々と聞き出しているからに違いない。


 まあ、いいけどね。こんな森の奥じゃ誰の迷惑にもかからないし。




「ところでなぜスルト君がここに居るのかな?

 魔王領の魔族は魔王領を出ない不文律があると聞いたがね」


「ボクの話を聞いてみる?」


「聞きたいだとも。語ってくれたまえ」


「はいよ」


 ルシェファーレならなんらかの協力してもらえるかもしれない。


 すくなくとも子供たちをこのダンジョンで鍛えることはぜひ協力してもらいたいんだ。だからボクもこれまでのいきさつも勇者養育計画のことも、ルシェファーレに話すことにしたんだ。



 イザベラはって? ペットはね、ルシェファーレと意気投合して二人で盛り上げたあと、またアトラクションを遊びに行ったのさ。


 まあ、適当に遊んでくれればお腹周りに付いている脂肪も減らせるから、ペットの好きにさせているよ。




「そうか。まあ、とりあえず定年退職おめでとうだな」


「そんなの魔王軍にはないからね」


「はっはっは。スルト君も思い切ったことをするよな」


「ほぼ勢いだけなんだけどね」


「……」


「どうしたの? いきなり黙り込んで」


 ルシェファーレはすごく深刻そうな表情を顔に浮かばせていたんだ。


 まさかボクの計画になにか破綻するようなところがあるのかな。これは真剣に聞いてみないといけないね。



「なにか気が付いたところがあるのかな?」


「うん。ここで言ってもいいかなと迷ってはいる」


「気にしないでよ。なんでも聞かせてほしいんだ」


 ルシェファーレは神々しい目でボクに向けてくる。


 天界を抜けたとはいえ、こいつも元は神の眷属、神に近い力を駆使することができるのさ。



「スルト君にもらったラノベはもう飽きた。

 新作があれば隠さないで一冊も漏れることなく分けてもらいたい!」


「ああ、そうかい」


 力が抜けてしまい、一気に疲れが出ちゃったんだ。


 そうなんだよね。イザベラにしても、ルシェファーレにしても、ボクはこいつらになにを期待してるのでしょうね。バカらしいや。


 まあ、ラノベはちゃんとあげるけどさあ。



お疲れさまでした。

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