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説話102 元魔将軍は模擬授業する

 マーガレットが来てから色々とあったけど、とにかく子供たちの世話を焼いてくれる彼女に感謝だね。


 ボクのことになっちゃうと色々暴走する子ではあるけど、それはそれでボクがなんとかすればいいこと。


 ――すっごく疲れるけどね。


 イザベラの教科書作成はマーガレットの手厚い()()のおかげでだいぶ進んだらしい。そこでボクは子供たちのために試しに授業をやってみることにした。


 科目は魔法、ボクの得意さ。



「おはよう!」


「「おはようございます!」」


「おはようあります!」

「ますなの」


 うん。明らかに違う声が入ってるのよねえ。


 確かにボクは最初の授業は試験的なものだから、参加者は十才以上の子、特別参加はエルネストだけとマーガレットにきちんと伝えたはず。


 ――なんでミールとエリアスが嬉しそうにみんなに混じっているのかな?



「ミール、エリアス。

 今日は授業だからお遊びじゃないんだよ? 寮に戻って、お昼から遊んであげるね」


「ミールもじゅごーうけるの」

「じごーなの」


 授業がじゅごーとなって、じごーと最終形態になるんだね。どういう変化なんだろうね。


 ボクが生徒ってやつになるから、だれか先生ってやつになってくれないかな。



「お遊びじゃないからね? 魔法は色々と危ないから寮に帰ってね」


「……ミール。いい子にするからみんなといたいの——すん……」

「いたいなの」


 うわっ! ヤバい、ミールが目に涙をいっぱい溜めて、今にも泣き出しそうになってるよ。それとエリアスはどこが痛いのかな? 言ってくれたら極大回復の魔法をかけてあげるね。



「スルトさんって、意外と細かいのね」


「そうそう。いさせてあげたっていいじゃないの」


「ダメですよ。例えそうであってもスルトさまの悪口を口にしていけません」


「みんな、スルト兄さんはミールたちの安全を考えてのことだ。

 ミールたちを泣かす極悪非道の人じゃないと思う」


 なんかさあ、ひそひそ話にするんだったら声を小さくしてくんない? もうね、ボクが思いっきり悪者にされている気分だよねこれ。


 ――それとアールバッツ君、と思うってなんだよと思うって。


 極悪非道の人じゃなくて、魔王軍の最高幹部だった魔将軍なんだよ。



 ――はああ……まっ、いいか。咄嗟の事故が起きればボクが防いだら済むことだし。



「ミールもエリアスもいい子にするならここにいていいよ」


「すん……うん、ミールいい子にする」

「エリアスいいこなの」


 そうだね、みんな本当にいい子だよ。


 計画変更して初めのうちは緩めで行こうかな? 子供たちに基礎体力と魔力が備えてきたら本格的に鍛えるとしようかな?


 それがいいや、でないと気疲れするよ本当。




「さあ、これから模擬授業が始まります。これからここ教室にいる時はボクのことを先生と呼ぶように。

 さあ、先生ってどういうものだとみんなは思う?」


「オホホホ。そんなの簡単ですわ、先に生まれてるから先生ですわよ」


「違うからね。それだとアールバッツ君はフィーリ君のことを先生って呼ばなくちゃいけないからね?

 それとお、先生候補はよく授業の内容を見て、問題があるときは授業後に聞いてきてね?

 以後は発言これを厳禁する」



 先生候補で来ているのはイザベラ、マーガレット。アダムスは欠場でここに来ていない――というか呼んでいない。


 暗黒の森林まで呼びに行くのが面倒くさかったから。



 まあ、何でも知っている森の賢者さまだからどうにかなるか。


 ――さあ、始めようか。


 ボクも勇者たちから話を聞いただけで、授業するなんて初めてなんだから。



お疲れさまでした。

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