え?こんな終わり方なの?
「コーコー」
そう不気味な息を吐きながら、そのデカ物は、俺めがけて突進してきた。めっちゃ怖いんだけど・・これが俺の本音。周りでは皇子様!!と声援が飛んでいる。そんな喧噪の中、俺は、なすがままこのまま殺されるのだろうか!!距離にしてまだ30mくらいはあるのだが、あと数秒で俺の所までたどり着くのは明白だった。
その時だった。一人の男が俺の前に現れた。
「皇子様お待たせしました。戌渡助左衛門見参!!」
そして、その男は刀を抜くとチャキンとミネウチに切り替えた瞬間、デカ物も立ち止まったが、その瞬間、デカ物の後ろから
「皇子様お待たせしました。猿田彦格之進、見参!!」
二人の登場に驚いている俺に対して、周りの外野連中は、
「待ってました!!助さん!!格さん!!」
「きゃー!!」
などと黄色い声も合わせておかしなことになっている。そんな状態にもかかわらず、デカ物は、ぐるる・・・と俺をにらみつけている。
「俺たちが来たからには、ここは通させないぜ!!」
「ぐぁあああ!!」
そう叫んで、俺の方へ足を進めたデカ物は、あっさりと二人に完膚なきまでに叩きのめされていたのだった。そして、ほぼ、稼働不能に近い状態になったころに
「皇子様!!」
「うむ・・」
「ひかえおろ~!!」
「皆の者、ひかえおろ~!!この紋所が目に入らぬか」
そう叫んで、助さんが印籠を懐から取り出した。その印籠を見て、周囲の人たちは驚きおののいている。そして、
「ここに追わす方をなんと心得る!!和の国の厩戸皇子であらせられるぞ!!」
「ええい!!頭が高い!!ひかえおろ!!」
「はは~!!」
と一同が俺に向かって土下座をしたのだった・・・これって・・・黄門様?とおどろいているとあのデカ物も土下座をしていた。フルボッコになっていたけど・・・そして、奴の顔を見た途端、あることを思い出した。そうだ。こいつ俺の会社に来て、お菓子を置いてくれと言っていた文房具屋の営業だった。それより厩戸皇子とは一体?と思っていると、俺の顔を見たデカ物が・・
「ああ・・・厩戸皇子様、お許しくださいませ・・・」
「お主、何を言っておるのだ・・さっきまで、俺をぶん殴ろうとしていたではないか」
するとあのデカ物は再びははーと頭を下げ、
「申し訳ございません。わたくし自身も、記憶にないというか・・・厩戸皇子様とわかっていたらこんなことまでも・・」
「どういう意味じゃ」
「実は、聖悪太子が・・」
「聖悪太子とは?」
すると・・・そこへ、もう一人の人物が現れた。
「そいつは、皇子様の名をかたるごくあくにんでさー」
彼の名は、木次谷弥七というらしい。そして、その横には、ナイスバディ―の女性がなお、桃恵香というらしい。
「そうですは、皇子様の名をかたるごくあくにんですわ」
そして、俺は、もう一つあることに気付いた。このデカ物は、俺の会社に営業に来ていた人物であった。
「そういえば・・・どっかで・・」
「お・・お許しください・・・本当に・・・」
そのガタイから想像もできないくらい涙を流していた彼を信じることにした。こうして、俺にとって、よくわからないままこの事件は終わるということになった。特に敵は、聖悪太子といことで、これから何が始まるやら・・・これからの・・・お楽しみ。。。
ちゃんちゃんちゃーん
次回予告、俺が何の英雄かは、よくわからないが、現世に現れた厩戸皇子というのが本当らしい・・・ま・・俺としてもなんとも言い難いのだが、しかし、俺自身にも日常生活というものがある。というわけで、普通はリーマンをやっているわけだが、やはり、同じ事件に巻き込まれることに、しかも、その時に現れたやつが、しっかり八兵衛というとにかく抜け目のないやつで、俺は、そいつに苦労をさせられてしまう。
次回、皇子様危うし、足を引っ張るしっかり八兵衛をおたのしみに・・・