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受付嬢の移籍  作者: 秋山梢
3/3

受付嬢の移籍ー初依頼ー

「よく集まってくれたフォレストサイドの諸君!」

 騎士爵様が大声で喋っている。

 集まったのは20名の村人、10名の自警団、4人の騎士爵様付き衛兵さん、私含め6人のギルドメンバーである。


 村の総人口1/3が参加か。


 冬は暇だからなぁ。


 騎士爵様のありがたいお話は続いているが聞いている者はお付の衛兵さん4人くらい。


「エレーナちゃん、職員の仕事は?」

 隣にいつの間にか寄って来ていたのはエルクさん。斧士Dの樵兼ギルドメンバーだ。上半身(特に腕)筋肉が凄い。ヒゲモジャさん。でも最近お腹のたるみが気になる40歳。


「はい。今日から私はギルド職員では無く、実働メンバーの方になろうかと。」


「「「「「なぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃ!???」」」」」


 いつの間にか聞き耳を立てていた他のメンバーさんの声が揃った。


 騎士爵様こっち睨んでるから叫ぶのやめてほしい。


「いつそんな話になった!」

「今日ですが?」

「いやいや!?昨日の木材納品の時、『いつでもお待ちしてますね☆』って言ってたじゃねぇか。」

「ギルド職員対応マニュアル通りの対応ですがなにか?」

「あれってマニュアルあったの!?」

「え、当然じゃないですか。『死んじゃ(無理しちゃ)ダメなんだからね(上目遣い、ほっぺた膨らまし)』『失敗なんてだれでもするんだから落ち込んじゃダメ(満面の笑み)』『次はいけるいける(右手を握って上に振り上げ、左手も握って口元)』『死んだら冒険終了なんだよ。。。(涙目で肩を叩く)』なんかもマニュアルあるよ。」


「「「「「なんだとぉぉぉぉ!!」」」」」


 だから叫ばないでよ。騎士爵様血管切れそうだよ。


「オレ、さっきのセリフ聞いたことある。。。」

「俺に絶対惚れてるって思ってた。」

「「「ないない」」」


「も、もしかして他にもマニュアルあるの?」

「え、もちろん?」

 対応マニュアルver6.10.213.3の厚みは下手なメイスより重い。


「教えてもら。。。わない方が幸せ?」

「幸せだと思うよ?」

「そうか。ありがとな。。。」

「どういたしまして。」


 ギルドメンバーのヤル気が下がった所で転職初の依頼がんばりましょうか!


 木々の間から冬の木漏れ日が見える今日この頃。


「せえぇのっ!」


どーーーん


 エルクさんが切り倒した木の根っこ目掛けて私の槍が突き刺さり根を穿り出す。

 ダズさんに教えてもらった通り小さな頃からの槍術鍛錬でこれくらいは出来るようになった。

 穿り出した切り株を槍で突き刺して、約10mほど離れた廃棄物焼却物置場へと投げ入れる。

 D級以上の槍術士だとこれくらいは出来るようになる。

 

どーーん どーーん どーーん どーーん


 地面を槍で掘り返す。いい感じに土と石が分離されて周囲へ散らばる。

 ある程度耕す(と言い切ってやる)と石を石突きで砕いて粉砕する。

 良い感じに槍術練習になるわ。


ごしゃ がすっ どすどす


 畑に大きい石はじゃまじゃま~。



「エレーナちゃん、あんな強かったんだな。。。」

「お前知らなかったのか。あの子15歳の頃ギルドに来た素行の悪いC級剣士、手に持ってたモップで瞬殺したんだよ。」

「はぁっ!?」

「ちなみに当時D級槍士でさ、必要にかられて取ったらしい。12歳の頃に。」

「まじか!?」

「そんでC級剣士叩きのめしてどう考えてもD級超えてるってんで試験受けたらB級だったらしい。」

「ちょ。2階級アップってどうよ!?」

「余談だが」

「うん?」

「その素行の悪かった剣士は俺だ。」

「お前かよ!?」



 森側の木陰で警戒兼採取班のC級剣士ミランさんとD級弓師ハロトさんが油断してる・・・。許せませんね!

「そこで遊んでるミランさん、ハロトさん、勤務態度不良で料金ひかれますよー。」

「「がんばります!!」」



「さすが元受付嬢。名前覚えててくれたんだなぁ。」

「お前泣くなよ。。。」

「常連酒場のミニャちゃんにさえ、ヒゲおじちゃんとしか呼ばれないオレには一大事なんだよ!」

「そうか。。。」

「哀れな目でオレを見るなァァァ!!」



 むぅ。せっかく注意したのに。まだ油断してる。

 あ、でも、もしかして気付いてて油断してる演技なのかな?

 試してみようっと。


 そして私はこっそりと石を拾い二人の背後の木へ指弾を弾いた。


ずばぁぁぁぁぁん


 私の手から飛び出した小石は二人に覆い被さる様に茂った木に直撃した。

 小石は砕け散った。


 そして動き始めるレッサートレント(下位樹霊種)と二人。


「「!!!」」


 二人は瞬時にレッサートレント目掛け攻撃を開始。

 ハロトさんの瞬射(数本の矢を一瞬で構えて放つ弓技)で牽制し、ミランさんは少し前に出て枝腕を連斬り(複数回の斬り払い)で受け止めたり逸らしたりしつつ接近。弱点の幹の虚の部分へ剣を横凪ぎ、寸前に無理やり体勢を変えて後方へバックジャンプ。

 地面からレッサートレントの根っこが槍の様に数本飛び出す。流石C級剣士、状況判断が良いわね~。

 地面からの根っこは飛び出した勢いが無くなると、そのままミランさん目掛けて振るわれる。

 ミランさんはその位置で根っこを迎撃。


「ハロト、やれ!!」


 ミランさんの掛け声で今まで貯めてた弓勢から解き放たれるハロトさんの豪矢(矢を気で包みはなつ弓技)。向かうは幹の虚。

 直撃。そして周りを巻き込み貫通。

 レッサートレントに大きな穴が空いた。



カーン カーン カーン


「レミーナちゃん、いきなりあれは俺らでも焦るぜ?」

「人のこと噂話で無駄口叩いてるからですよ。」

「うぇぇ、聞こえてたのねー。」


 エルクさんがレッサートレントを解体してる横で二人と会話。


「やっぱり気付いてたんですねー。」

「枝が徐々に俺らに被さってきてたしー。」

「虚の位置も少しづつ下がってきてましたからね。」

「そうそう。そんで後1mで一息に虚が狙える位置まで来てたから、そこで一気に仕留めようかと思ってたんだよ。」


 さすが上級のギルド職員。たぶん下位の人たちなら気づかず、縛られて吊るされちゃってたね。


「これでハロトさんは討伐ポイント+15、ミランさんは+10ですね。お疲れ様です。」

「まー低級樹霊だとそんなもんだなー。」

「あんまり強いモンスターこの辺いないから助かってるけど。」

「まぁ、油断せずに警戒してましょ。村の人たちがケガとかしないようにね。」




夕刻


 夕日に照らされる山々を見るとなぜかメランコリックな気分になっちゃいます。


ざわ・・・ざわ・・・


 少し離れた村の鐘楼やギルドの屋根も夕日の反射で真っ赤。畑の柵の影とのコントラストが絵になって、心が沈むような落ち着くような不思議な気分。


ざわ・・・ざわ・・・ざわ


 そして私は倒れた樹に突き刺してた槍を引抜き、帰宅準備に入った。



「ちょおっと待とうか。レミーナちゃん。」

「はい?」

 エルクさん、疲れた顔してますね。伐採や製材なんかで今日は頑張ってましたからね。

「その槍でさっきまで突き刺してたエルダートレント(上位樹霊)、それもワシがバラさにゃいかんのか?」

「え、もちろん?」


やってもらいますよ?







あまりにも短すぎたので編集しました。

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