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コイマンの能力

「ワイはどんなにかけ離れている2人でもくっけられますねん。」自慢げにコイマンは言う。

「すごい!じゃあ、木村さんが僕の事を好きになるってことも・・・」

「可能ってわけですわ!」

「やった!でもどうやって・・・?」首を傾けながら弘樹は聞いた。

「まず、おにぃさんがワイの頭を触りながら自分の想いを全部ワイの中に入るように念じます。そんで、相手の子にワイの頭を触らせる。すると、おにぃさんが相手の子を想った分だけ、相手の子の気持ちがおにぃさんに向くわけですわ。」

「つまり、僕が木村さんを想う気持ちが強ければ強いほど、木村さんは僕の事を好きになってくれるってこと?」

「いえっす!」コイマンは右のむなびれを上げた。

「でも、木村さんに君を触らせるってのがなかなか難しいなぁ。」腕組みをして弘樹は悩みだした。

「まぁ、手段はなんぼでもありますやろ。そんなに急ぐ必要も無いやろうし、ゆっくり考えてくだせー。」

「うん。案外魚好きかも知れないですもんね。」

「ん~。それはわかりませんけどねぇ。」

「じゃあ、とりあえず、ここに木村さんを連れてくればいいんですよね?」

「まぁ、そういう事ですけど、1回フラれてるのに、またこんなとこに呼び出せんのですか?」

「いや・・・。その、まぁ・・・。」頭をかきながら弘樹はボソボソ言った。

「ですわなぁ。せやったら、水槽にワイを入れてその子の所まで持って行って下さいよ。終わったらまた此処に逃がしてくれたらええんで。」

「あ、なるほど。コイマンは見た感じ30センチくらいしかないし、それほど大きな水槽じゃなくても大丈夫そうですもんね。」

「ええ。ほな、どうしますか?もう今日やっちゃいますか?」

「え~?フラれたその日にまた呼ぶのはちょっと辛いなぁ。それに、水槽も買わなきゃいけないですし。」

「あ~そうでっか。じゃあ、また明日ですな。またこのあたりにいますんで、コイマンって呼んでくれはったら水面まで来ますんで。」

「あ、コイマン。質問していいですか?」右手を少し上げて弘樹は質問した。

「あ、何ですか?」コイマンは全身を傾けた。

「コイマンの声って僕以外の人にも聞こえるの?」

「ワイを触った人だけにしか聞こえまへんし、ワイが声を届けたい相手にしか聞こえまへん。」

「なるほど。じゃあ、もう1つ。過去にコイマンは何組もカップルを成立させてるんですか?」

「せやなぁ。ワイは過去には1組だけですねん。うちの家系は先祖代々恋に悩む人の手伝いをするんですわ。こないだまでは親父が頑張ってたんですけど、台風で増水した時に陸に上げられてしもうたみたいで、それまで全く何もしてなかったニートのワイやったけど、受け継ぐ決意をしたってわけです。」

「あ、ごめんなさい。」

「あ~そんなん気にせんで下さい。事故なもんで。」

「・・・うん・・・。あ、それで、その1組はどうしてるの?」

「わからんのです。カップルを成立させるともうワイと話が出来んくなります。というか、お互い見えなくなるんですわ。ワイはカップルが見えなくなるし、カップルもワイが見えなくなる。だから、うまくいって、水槽を見た時に空っぽに見えても、しっかり川にかえしてくださいね。」

「うん。わかりました。じゃあ、また。あ、そうだ、もう1つ!どうして関西弁なんですか?」

「それは、昔からずっと関西弁やったからわからんのです。爺さんも関西弁やったんで。」

「そっかぁ。じゃあ、今度こそ帰ります。また明日!」笑顔で弘樹は帰って行った。

「最初とはえらい違う顔やな。まぁ、喜んでもらいたいわけやしええんやけどな。」口をパクパクさせながらコイマンは川の深くへ潜っていった。

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