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第四十五話『死の砂漠と簒奪帝の影』

「......ブレイロが裏切った。 あの者は父の代から王家に仕えていた忠臣のはず......」


 トレイル王が苦悶の表情を見せた。


「......ブレイロはヴェルザグに仕えていたと言ってました。 それなら遥か昔からヴェルザグに仕えていたのかもしれない」


 俺がそう言うとトレイル王はうなづいた。


「それは宝玉を目的にこの国に仕えていた...... と言うことですね」


 そうイオリシアが言う。


「確かに、我が先祖から宝玉は隠し封印するように言われていた。 宝玉の問題があってから、調べるため学者たちが何度か足を運んだのだ」


「......それで隠し場所を見つけたのですね。 あれほどこの国に尽くしていたのはヴェルザグへの忠誠があったからなのか......」


 ゼノフォスが失望したようにうなづく。


「いや、不死になりたかったのだろう」


(だがリゼルダインたちは容易く切り捨てた......)


「で、でも宝玉を二つ奪われちまった」 


 レンドは肩を落とした。


「その一つリゼルダインが使った運命の宝玉フォーチュン・オーブはブレイロをモンスターに変えた」


「モンスターに...... あの宝玉にそんな力が」


 ディルセアは考え込む。


「不死に、モンスターへと変えるか...... ダンジョンを作り魔法を与える、宝玉の力は途方もないな...... それが三つも奪われた......」


 ゼノフォスがそう言うとみんなが沈黙した。


「いや、カイトどの、もう皆に説明したほうがよかろう」


 王にうながされる。


「......そうですね。 最後の一つは俺が持っている」


 俺は最後の一つを皆に見せた。 皆が驚いた。


(これが最後の希望になればいいが......)



「取りあえず全てを奪われなかったが、三つ失ったのは事実、奴らがなにをするつもりなのかだ」


「カイトさん、奴らを追うしかないでしょう!」


「レンドくんの言うとおりだが、奴らがどこにいるのか検討もつかない」


 ゼノフォスが言うとディルセアが首をふる。


「......いいえ」 


「わかるのかディルセア!」


「......私の両親が亡くなる直前に調べていたのが、ブレンバルトの皇帝、ヴェルザグの故郷とされる北の砂漠地帯【ザースレイ】そこには、遺跡があるらしいの」


「あそこは人の住めぬ死の砂漠...... オアシスすらない、入ることも困難だ」


 トレイル王は眉をひそめそういった。


「カイトの力なら可能ですね」


 イオリシアがいうとみんなが俺を見た。


「......ああ、行くしかないな」


 俺たちはザースレイに向け準備を始めた。



「ここか......」


 見る限り砂しかない景色が目の前に広がる。 俺とレンド、イオリシア、ディルセアはザースレイに来ていた。


「砂漠なのに、別に暑くないですね......」


 レンドが言う。


「元々ここは緑豊かな【ビェンティ】という国だったらしいわ。 でもいつしか砂漠のように失われてしまったと文献にあるの」


「砂漠に変わった...... やはり何かが起こったんでしょうね」


 イオリシアはそう果てのない砂漠を見ながらいう。


「ええ、父さんと母さんの残した手記によると、ヴェルザグはビェンティを滅ぼし、ブレンバルトを建てたらしいわ」


「何者なんですかヴェルザグって」


「わからない...... 文献にもなにも残っていない。 ただ皇帝を名乗り、各地へ進軍し奪い破壊する【簒奪帝】《さんだつてい》と呼ばれていたそうよ」


 ディルセアはレンドにそう説明した。


(簒奪帝か......)


 俺たちは何もない砂漠をただ進む。 水や食料はオールバンクで出しつつ、休憩を挟む。


(何か見つけられる技能を...... いや、まだ何が起こるかわからない...... 最後までとっておくか。 もうかなり記憶を失っている。 みんなのことも忘れ始めている...... これ以上拡張スキル・エクスパンションを使うと、俺は全てを忘れてしまう......)


「本当にこっちなのかディルセア......」


 レンドがいった。 数日馬に乗り、歩いたが何もない。 


「父さんたちの手記だと、探索で目印の石を建てたと書いていたわ。 そして遺跡を見つけ帰ったと...... ほらっ!」


 砂漠に杭のように石が刺さっている。 その石には文字が彫られていた。


「ここから直進に遺跡あり...... か」


「もうすぐだわ。 父さんたちは何度か往復して、少しずつ記録を残していた。ちゃんと残っていたんだ......」


 感慨深げにディルセアは言う。


「すげえ人たちだな」


 レンドがいうとディルセアは目に涙をためてうなづく。


「ええ...... ちゃんと、残していてくれた......」


「さあ、ディルセアの両親に感謝して遺跡に向かおう」


 俺たちはゆっくりと進んだ。


 そこから数日たち、ついに遺跡が見えてきた。



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