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スーパースターな男II  作者: 柿井優嬉


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杉森圭吾の話⑬

 杉森圭吾が野球界に戻ってきた。

 といっても、プロの球団ではなく、クラブチームに、である。

 彼は、芽生の提案に乗り、プロ野球以外のスポーツのプレイヤーや、他の仕事をしているなど一般の人々の収入がもっと増えるように、自分でいろいろやってみることにしたのだが、まずは、トップのプロリーグに所属している人を除けば稼ぎは多くないし、わかることやできることがたくさんあるだろうというので、トップのプロを除く野球選手たちのために活動を始めたのだった。

 プロ野球選手時代の圭吾は、日本で知らない者はいないくらいの有名人で、自らそうしようとしなくても、さまざまなジャンルのたくさんの人と付き合いがあったので、そのなかから協力してもらえそうな人たちに声をかけた。クラブチームを新たにつくることも念頭にあったけれども、既に存在していて、今回の考えに共鳴したところが、圭吾を選手として迎い入れてやっていくというかたちになったのだ。

「あの杉森の芸術的なバッティングがまた観られるのか!」

「もう五年も経って、ないと思ってたのに、信じられない」

「やったー!」

「生きててよかった~」

 メディアが大きく取り上げてくれたし、何より、引退が衝撃的だったために、アマチュアとはいえ、この復帰は大きな話題を集めた。

 そして、別のクラブチームはもちろんのこと、独立リーグや女子野球のチームとも試合を行い、圭吾のプレー見たさに訪れる大勢の観客による入場料や、関連して入ってくるお金が、彼のチームメイトや相手チームのプレイヤーたちのもとに、できる限り渡るようなシステムにした。

 ただ、いくら圭吾のプレーを目にできるにしても、選手のなかで、彼だけ力のレベルが違い過ぎて、面白みに欠けるという問題があった。

 ところが、どこからかその情報を聞きつけたらしく、プロ野球のシーズンが終了を迎えると、大阪ベアーズの六車が圭吾のもとに連絡をよこして、こんなことを言ってくれたのである。

「試合をやる前か後に、エキシビジョンとして、俺とお前が一打席の真剣勝負をするっていうのはどうだ?」

「え? 本当ですか?」

「ああ。お前のためっていうよりも、俺がお前と対決をしたいからな。あんなに早く引退しちまいやがって」

「すみませんでした。六車さんが来て、しかも投げてくだされば、それだけでもっとお客さんが入るでしょうし、こちらは当然大歓迎です。でも、ベアーズが許可してくれないんじゃないですか?」

「大丈夫だ。もう話をして、確かに『ケガをするおそれがあるから』と難色を示したけども、『もし駄目だと言うなら、俺も杉森のように引退するぞ』と脅したら、OKが出た。俺は本気でそんなことは思っちゃいないが、お前が実際に辞めてるわけだから、あり得ると考えたんだろうな。うまくいってよかったぜ」

「ひえー。わざわざそんなことまでしてくださったんですか。どうもありがとうございます!」

 この六車以外にも、圭吾は現役時代、人の善い彼にとっては普通にしただけのことでも、とても親切にしてもらい、お世話になったと感謝している選手は多く、そのときの恩を返そうと、六車と同じようにプレーをするなど、いろいろと力を貸してくれた結果、さらに観客の数は増えていったのだった。


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