0.The Sins of Girls
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ピピーーーッ
……………………ピッ
『ぁーぁー……………………てすてすマイクテス………………』
機械音から発せられる年端もいかない少女の声。
雑多の声に混じっている為か、ハッキリと聞こえずらく目の前の事と耳元の両方に集中しなければならない。
目の前の事に集中すると、耳の方に注意が行かない分話が入ってこないのだ。
『聞こえてますかー?ぉーい……………………』
ピーーーッ
ピ、ピピ、、ピピピーーーーッ
『多分、今ね、パルクールで夢中なんだよきっと』
次は別の少女の声だ。
落ち着いている声色に、やる気の無いような言い回し。
『パルクールって、興味利かないわね……………………って、おい!早く応答しなさいよ!!』
三人目の少女の声。
次は高飛車のような、高圧的な言い方。
その少女の声で、ようやく耳に入った。
その時だ―――――
ナイフが、眼前目掛けて横に振り回して来た。
「ぅわぉっとッ!?」
咄嗟な反射神経で、顔を上に背けて状態を後ろに逸らす。
すると、
何て言う事でしょう。ナイフ基い、柄を握った腕の姿が振りぬく瞬間が目撃できてしまったではありませんか。
それも、細部まで細かく一枚絵が重なって動いているように見える。
そして、すぐさま振りぬく手を左手で強く握り掴む。
そのまま、自分の脇を通して後ろに持っていくと空いた右手で、男の首元まで伸ばした瞬間に、顎を強く反対方向へと突き出した。
グギッと骨の音が聞こえる。
が、好きなく次のモーションへと入る。
左手で相手の腕を引っ張り、倒れる背中目掛けてミニスカートに隠したナイフを取り出すと、一気に数か所突き刺したのだった。
勢いを止めるように、右足を軸に左足裏を地面に擦らせて横にスライド。
そして、血の付いたナイフを振り払って元のミニスカートの下へとしまい込んだ。
「ごめんごめん!なにー?」
そこで、ようやく耳元のマイクに話しかけるのだった。
すると、
『『『はぁ……………………』』』
三人同時に溜息が聞こえてきた。
その反応に、戸惑うがすぐに答えが返ってくる。
『まったく、アンタって一つの事にしか集中できないわけ?』
「えぇーー!?何かあったの!?ごめぇ~ん!!!」
『全くだよね。もう、、、全くだよ』
「ちょっ!教えてよーー!!」
『大丈夫ですよ。ただ、相手の接近反応があるから気を付けてくださいねって伝えようとしたんですけど……………………片付けちゃいましたから』
「あぁ~!なぁ~んだ、そう言う事だったの?なら良かった~!」
と、安堵した声に言葉を放った。
次だ、
『良かったじゃないわよ!アンタ、バッカじゃないの!?』
「ぅへへ~!?」
思わず、怒鳴り声に驚いて変な声が出た。
『まぁまぁ、私たちも片付いたし。そっちも片付いたし。結果オーライじゃない?』
その場を収めるように、やる気の無さそうな声が聞こえてくる。
『甘やかしすぎなのよアンタらは!』
『良いじゃないです。説教は、其処までにして任務を終えたのですから帰りましょう』
「そうだよ~お腹空いたし、帰ろうよ~~~」
そう言って、切り上げて、四角いアパートの屋上から降りて行くのだった。
そして、これが私たちのいつも。
依頼をこなす為、命と隣り合わせで私たちは生きていく。
それが、私たちの人生だ。