第6話 桜のなる季節
桃色に染まった木々が揺れ動く中、その下を歩く姿があった。
「あー卒業か」
ふと裕夢がそんなことを言ってきた。
「そうだね」
軽く相槌を打ちながら歩いていると、前を歩く伊倉さんがいた。
「悪いな真、俺先行くわ」
「うぃ」
走り去る裕夢を見ながら、思いにふけようと思ったがそうもいかないみたいだ。
魔王が俺の顔の前で止まってる。
真(どうした?魔王)
魔王(真、そろそろ家族に伝えないのか?)
真(伝えるって何を?)
魔王(俺のことだ)
真(それを言って何になるんだよ)
魔王
真(話はそれだけか?今日は卒業式なんだ。出来るだけ話しかけないでくれ)
教室に着くと造花を名札の上に着けている先生と生徒の姿があった。
真はその中の1人に目がいった。
「久しぶりだね、紅君」
「あぁ、久しぶりだな九条」
九条とは1年の時からの付き合いで、4年生の途中で学校に来なくなった。正確には来なくなったってゆうよりは、教室に顔を出さなくなった。
「もう顔大丈夫なのか?」
「まぁ、片目は見えなくなったけどそれ以外は特にはね」
九条は交通事故を起こしてから性格が変わった。昔はこいつの周りにはいつも人が集っていた。でも、今はみんな近寄らない。いても、いないような感じで扱われている。それを思ってか九条はクラスに顔を出さなくなった。
「今日は卒業式だからね。久々に来たよっていってもこの教室に思い入れは無いけど」
そう言うと九条は作り笑顔を見せてきた。
なぁ、九条俺も実はお前とそんな仲良く無かったんだ。
あの時のお前の顔はたしかに酷かった。陰で言われてたことも、お前が聞こえるぐらいの声で言われてたこともあったな。
「九条、卒業したら中学どこに行くんだ?」
「隣の地域に行くから。みんなとはお別れだよ」
「そっか…じゃあ卒業式が終わったら写真でも撮ろうぜ」
「いいよ写真なんて」
卒業式は卒業証書授与、お別れの歌、最後の言葉を言い、無事に終えた。
最後の授業=学活で涙を流す生徒もちらほらいた。
「今日は皆さんにとって旅立ちの日です。ですがそれは…」
と言った先生のいつもの言葉を聞いて小学校の全課程を修了した。
「さ、九条撮ろうぜ」
「写真はいいって」
「そう言わずに!ほら!!」
九条は言葉では軽く嫌がっていたが渋々ポーズを取った。パシャッ!と言う音とともに写真が保存される。
「じゃこの写真を送ってっと」
「うわやっぱ変な顔だ」
「そんなこと無いって、ほら。もう一枚撮ろ!」
「なんだ真、教室いないと思ったらこんなとこにいたのかよ」
遠くから花を持った2人がやって来た。
「九条もいるじゃん。2人ってそんな仲良かったのか?」
「ほら、裕夢も伊倉さんも入れ」
「わ、私はいいよ」
「僕もそれで撮られたんだ。だから、逃がしはしないよ」
逃げようとする伊倉さんを髙井と九条が制止し、かんにんしたのか寄ってきた。
「じゃあ撮るよー、ほらみんな笑って笑って!はい、チーズ」
パシャッ!
真は笑顔でみんなの肩を寄せて笑い、九条は微笑み、伊倉は裕夢とハートを作った。
「それじゃ、卒業してもまたどこかで」
「あぁバイバイ」
「バイバーイ」
「じゃあね」
車に乗り込む九条を3人で見送り、俺たちはそれぞれ帰路についた。
そうして小学校での何気ない日々は終わり、中学校での新たな出会いがはじまろとする。
〜用語解説〜
4人の写真を撮ったのは裕夢の親です。
裕夢と伊倉と一緒にいました。




