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魔王の導き  作者: 未来 昇
小学生編
2/5

1話後編 出会い

「はぁはぁ」

俺は塾へと向かっていた。

この雪で歩くのは厳しいな。そんなことを考えながら、交差点に出ると突然飛び出してきたトラックがあった。間に合わな—。


「あっ!」

キキー!!!ドガーン!!。


トラックの運転手は電柱に突っ込み意識が無くなっていた。しんの方はそこから五メートルほど、離れた場所に転倒していた。


ん?あーあれ?なんでだ?なんで生きてる?トラックに轢かれたはずだ。血も出てるし体もすごく重たい、でも行きてるぞ。あれは?一体。


出血のせいか、凄まじい倦怠感に襲われている中トラックと自分の間に立っている人影が目に入った。

全身に黒いモヤがかかっているせいで、全体像がよく見えないがたしかになにかがいた。

今どき路上でコスプレしてる奴なんてなかなかいないし、この世のものでは無いことは間違いないな。マントまで付いてるし。


「フゥー。あっちの男は即死か、ではそっちの男の方は…ほう?まだ意識があるというのか、面白い。」


こっちに来るな。頼む誰か助けてく、れ…



「おい。おい!目を開けろ人間。貴様の主人だぞ。」

「んあっ?誰ですかあなた、てかここ何処ですか?」

目の前には黒いモヤがいる。さっきよりもよく見えるが全身甲冑で顔が見えない。


「貴様の主人、魔王様だ!そしてここは貴様の精神世界。あのままだと貴様は死んでいたのを我が助けてやったのだ。感謝しろ!ガハハハ。」

「はぁ…?ありがとうございます。ところで今はどういった状態なんですか、俺の体は」


見るとなぜか裸で自分がいる。


「そう急ぐでない。今は病院?とやらで眠っている。そしてここは貴様の精神世界だ。」

「はぁ…良かったー俺ほんとに助かったんですね。では起きてもよろしいですか?」

「まぁー待て、貴様には我の手伝いをして欲しいのだ」

「それはどのような?」

「ここに来てからというもの、どうにも力が不安定でな。魔界に帰るまででいい。貴様を我の依り代にさせろ」

「え?嫌ですけど」

「な、!?なぜだ!?」


魔王様?はさっきの余裕ある感じは無くなり焦りを感じている。


「いや〜それはイヤです。だってよく知らないし、魔王て言う人のことなんか信用出来ないですもん。」

「そうか、…だがもう貴様の体からは出られないぞ」

「え?どうし…」

最後まで言う前に再び意識が飛んだ。



「ん~~、はっ!」

勢いよく飛び起きるとたしかにそこは病院だった。目の前では母さんが寝ている。

いやあの魔王が言ってたことってのは、本当だったのか。


「本当に病院だ…」

「だから言っただろう?」


いや正直半信半疑だったんだよ、得体の知らないやつの話とかね、ん?

「うわぁ!なんでお前がいんだよ!!」

「おいおい、今我の体はお前と一心同体なんだぞ。断られた時はどうしよかと思ったが結果オーライってやつか!ガハハハ」

「まじかー」

「ということだから、これからよろしくな人間」


「ん~~ん?」

どうしようか考えようとすると母さんが起きた。

母さんは俺の顔を見ると泣きながら抱きついてきた。

「真!良かった。本当に良かった!生きててくれて!母さん、お前が事故したって聞いた時はどうしようかと思ったのよ。」





「それじゃあ、母さんは帰るけど大丈夫?右半分の骨が折れててもおかしくなかったそうよ」

「うん、右足だけで済んでよかったよ。母さんももう暗いし帰ったら?きっとみんな心配してるよ」

「う〜ん。真がそうゆうなら、大丈夫みたいだけど母さん心配だわ〜。家族で一番しっかりしてるあなたが入院したのだもの」

「安心して母さん、一か月後ぐらいには退院出来るから」

「そうね、くよくよしてられないわ!また明日ね真バイバイ」

「うん。バイバイ」


手を振り返し、母さんが見えなくなったのを確認すると右後ろを浮遊している魔王が話しかけてきた。


「シンというのか、いい名だな」

「ありがと。さて、あんたは俺の体の中にいて俺としか会話が出来ないと言うことでいい?」

「あぁ、どうやらそのようだな。あと先ほどと口調が違うような」

「これが俺の素だよ」

「そうなのか?」

「父さんは物心ついた頃にはいなくて、家族の中で一番年上の男は俺で、…ってこんなことお前に言わなくてもいいか」

危ない、コイツなら話して大丈夫と思ったのか?今まで誰にも言ったことなんてなかったなのに、こんな簡単に本音がでるなんて。


「んであんたの目的ってなんなんだ?」

魔王は少し考える素振りをすると

「そうだな、今は言えない。」

「そうか。ま、今日は疲れたし、明日のことは明日にでも話そー。おやすみ。」


寝る姿勢に入り目を閉じた。今日はいろいろありすぎたな。

魔王のことは、これから考えればいい。そんな甘い考えをこの頃はまだ思っていた。

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